現地座談会

抗EGFR抗体薬の新たなバイオマーカー

Discussion

室:それでは、抗EGFR抗体薬のバイオマーカーについてご意見お願いします。

吉野:まさにfuture direction が示されたと思います。ただ、実臨床におけるNRAS 測定はまだ先の話なので、その間の治療について考える必要があります。今回、PRIME試験KRAS exon 2 野生型においてもOSの延長が報告されているので、KRAS しか測定できない現時点でもFOLFOX + Panitumumabが有効な治療法であることに変わりはなく、NRAS を測定できないからPanitumumabを使わないという話にはならないと思います。

室:FOLFOX + Panitumumabは今後も標準治療の1つと考えるべきということですね。

佐藤 (武):1つ確認しておきたいのは、この報告はenrichmentであって、super responder探しではないということです。薬剤の効果がないnegativeなselectionを、より確実にかけられる可能性があるということを強調しておきたいです。

大村:抗EGFR抗体薬を投与することによって悪い影響を被る人を除外できるわけですね。

室:このようなenrichmentは絶対に必要です。肺癌や乳癌ではまさにこのような患者選択が進んでいるのに、消化器癌では遅れていました。今回の報告はこの状況に一石を投じたので、今後は他癌腫と同様にenrichmentを進めていく必要があると思います。

Lessons from #3617 / #3511 / #3631
  • KRAS exon 2,3,4、NRAS exon 2,3,4変異の有無はPanitumumabの効果予測因子であることが示唆された。
  • BRAF 変異の有無は、Panitumumabの効果予測因子ではないと考えられる。
  • NRAS が臨床で測定できない現在においても、FOLFOX + Panitumumabは1st-lineにおける標準治療の1つであると考えられる。
  • 今後、このようなenrichmentを進めていくべきである。

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