●NCCNガイドライン、ESMOガイドライン
吉野:次に馬場先生から、大腸癌の海外のガイドラインにおけるRegorafenibの位置づけについて解説していただきます。
馬場:2013年のNCCNガイドライン (colon ver. 3, rectal ver. 4) では、1st-lineから4th-lineまでの治療アルゴリズムが紹介されています16)。1st-lineでL-OHPベースのレジメンを使用する場合はBevacizumabまたは抗EGFR抗体薬を併用し、2nd-lineではCPT-11ベースのレジメンに切り替えて、同様にBevacizumabまたは抗EGFR抗体薬を併用することが推奨されています (図5)。そしてRegorafenib は3rd-lineおよび4th-lineでの使用が推奨されています。また、CPT-11ベースのレジメンで開始した場合、フッ化ピリミジン系製剤ベースの治療から開始した場合も、Regorafenib は3rd-lineあるいは4th-lineに位置づけられています。
ESMOガイドラインも基本的にはNCCNと同様です。Regorafenib は3rd-lineあるいは4th-lineで推奨されています (図6) 17)。
CORRECT試験の対象がすべての標準治療を終えた症例だったため、実際のガイドラインでも他の薬剤を使い切った後に位置づけられています。
吉野:RegorafenibはKRAS 変異の有無にかかわらず効果があるため、基本的には抗EGFR抗体薬が使用できるKRAS 野生型では4th-line、抗EGFR抗体薬が使用できないKRAS 変異型では1つ前の3rd-lineが推奨されるということですね。
馬場:現時点ではそのような位置づけになっています。ただ、Regorafenibは1st-lineにおけるFOLFOX18)、2nd-lineにおけるFOLFIRI19)との併用療法を検討した臨床試験がそれぞれ進行中です。その結果次第で位置づけが変わってくる可能性はあります。
吉野:CORRECT試験はECOG PS 0/1が対象でしたが、実際に3rd-line以降でPS 2の患者に対してはどうされますか。
馬場:Regorafenibはマルチキナーゼ阻害剤なので、PSが良好な状況で使用するのが望ましいと思います。したがって、PSが低下するまで前治療を継続せず、増悪を確認したらPSが良好なうちにRegorafenibに切り替えたほうがいいと考えます。
吉野:NCCNガイドラインにはBSCも選択肢として記載されていることを考えると、PSが不良な患者には、勇気を持ってBSCを選ぶことも必要なのかもしれません。