CetuximabやPTXでは症状発現予防目的に前投薬の投与規定がなされており、それら前投薬の投与確認は欠かせない。また、発現頻度が高い薬剤の投与時にはその発現リスクを認識した上で投与を行う。IRRに関しては、投与初期に最も発現率が高いため、特に初回時には開始前バイタルサインの測定、および、バイタルサイン、心電図のモニタリング等の十分な観察を行う。
IRR発現時の対応として、症状が軽度であれば点滴の中断や投与速度の減速で対応可能であり、再投与可能なケースが多い。投与再開時には投与速度を減じて投与を行う。また、症状軽減を目的としたステロイド等の投与も考慮される。アレルギー反応であれば、薬剤の投与を中止し、可能な限りルート内の薬剤を取り除いた上で、輸液(生食等)を開始し、経過を観察する。症状が軽度であれば十分な経過観察と症状消失時には再投与の検討も考慮に入れるが、中等度以上ではステロイドや抗ヒスタミン薬の投与に始まり、重症例では呼吸管理や救急処置薬剤まで必要となる。一般的には、薬剤アレルギーのあった薬剤の再投与は原則行うべきではなく、安易な投与は避けるべきである。しかし、治療選択肢の問題や有効性の面から判断する場合もある。ただ、再投与の報告7,12)も存在する中で、安全性を担保できる明確な根拠は不明である。
IRRやアレルギー反応を起こしやすい薬剤に関しては、対象薬剤の導入患者が存在することを医療スタッフ間で共有し、投与開始時より十分な観察を行う。その際、初回導入時のみではなく、プラチナ製剤のように、数コース経験後や再導入時など、投与経験後にアレルギー症状がみられる薬剤があることにも留意したい。
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