1960〜87年にドイツErlangen大学病院にて診断された大腸癌5,249例のうち、同時性肝転移は713例 (14%)、異時性肝転移は496例 (9.4%) に認めたと報告されている3)。また、1988〜92年に米国退役軍人省の医療センター159施設にて診断された大腸癌35,921例のうち、6,607例 (18.4%) に肝転移を認めたと報告されている4)。わが国からは、1984〜93年に国立がん研究センター中央病院にて手術が行われた大腸癌1,543例のうち、15%に同時性肝転移を認め、治癒切除された1,201例のうち約10%に異時性肝転移を認めたとの報告がある5)。また、1995〜98年度の大腸癌研究会・大腸癌全国登録26,091例では、同時性遠隔転移の部位別頻度は肝臟10.7%、腹膜5.0%、肺1.6%6) と報告され、1991〜96年に治癒切除が行われた大腸癌5,230例の検討では、初回再発として肝転移再発が7.1%に認められたと報告されている7)。以上、大腸癌症例全体を対象にした報告からは、大腸癌の同時性肝転移は約15%、異時性肝転移は約10%と推定することができる。
一方、対象を根治切除不能大腸癌初回化学療法例に限定すると、肝転移の頻度は70〜87%、転移臓器が肝のみである割合 (肝限局転移例:Liver limited disease, LLD) は17〜30%と報告されており8-14) (表1)、「肝転移の頻度」は対象集団によって異なることがわかる。
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