CTは簡便で高い空間・時間分解能を有する。大腸癌肝転移の典型的CT像は、動脈相のring enhancementと、門脈相の相対的低吸収域である。近年、多列検出器型CT (Multidetector-row CT:MDCT) が登場したことにより、1mm前後スライス幅での観察と任意方向の再構築断面像作成が可能となった。経動脈性門脈造影下CT (CT during arterial portography:CTAP) は、大腸癌肝転移への感度は高いものの、侵襲的であり偽病変の頻度が高いことから、用いられる機会は少なくなってきた。
MRIは、測定機器の進歩と新しい造影剤の登場により測定精度が高まっている。主なMRI造影剤として、T2短縮効果をもつ超常磁性酸化鉄 (Superparamagnetic iron oxide:SPIO) 製剤と、細胞外液性造影剤Gd-DPHAにEOB基が負荷されT1短縮効果をもつGd-EOB-DPHAがある。後者は、空間分解能に優れた3DFT-T1強調画像が可能であり、腎機能低下がなければGd-EOB-DPHAを用いることが多い。
メタアナリシスによると、造影CT、MRIによる大腸癌肝転移に対する感度はそれぞれ74.4%、80.3%とほぼ同程度であるが、10mm未満の病変に対する感度はMRIが有意に優れていたと報告されている (表2, 3) 15)。
超音波 (US) も分解能の向上やソナゾイド造影剤の登場により測定精度が高まり、術前診断だけでなく術中の微小肝転移の描出に広く用いられている。
FDG-PETは登場初期から大腸癌での有用性が認められており、肝転移を含めた腫瘍の存在診断に用いられている。メタアナリシス15) によると、大腸癌肝転移に対するPET検査の感度は81.4%と報告されている。全身検索が可能であり、術前のPET/CT検査により20〜30%の症例で治療方針が変更したとの報告もある。しかし、切除可能肝転移症例に対し、術前PET/CT検査施行群と未施行群を比較した無作為化比較試験 (PETCAM試験) では、術前PET/CT検査の追加による治療方針の変更は7.6%にとどまり16)、OSの延長も示されなかった17)。
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