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第4回 大腸癌肝転移に対する治療戦略

4. 大腸癌肝転移治療における諸問題と今後の展望

 大腸癌肝転移に対する治療の主軸は、生存期間の延長だけではなく根治が期待できる手術療法であり、本稿ではこれまでの報告を切除可能肝転移と切除不能肝転移に分けて治療方針を概説した。しかし、肝転移の切除可能 / 不可能の基準は手術手技の発展や有効な新規抗癌剤の開発によって変化しており、現時点では各医師 (肝臓外科医、大腸外科医、腫瘍内科医、放射線診断医) や各施設によって異なっている。
 実際、切除不能肝単独転移例を対象としたCELIM試験では、術前化学療法終了後に治療前後の画像に基づく外部評価が行われたが、試験登録 (治療前) の時点で68例中9例が切除可能と判断され、28例で切除可能 / 不可能の判断が分かれたことが報告されている92)。単治療群の前向き試験や、特に後ろ向きの観察研究においては患者選択バイアスを避けることができず、結果の解釈は慎重にしなければならない。
 今後、本邦においても手術手技やconversion therapyを含めた周術期化学療法の有効性を検証するためには、手術可能 / 不可能の基準に関して医師間、施設間のコンセンサスを早急に形成し、速やかに無作為化比較試験を実施する必要がある。

3. 大腸癌肝転移に対する治療【3.3】 目次へ  
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