VEGF経路を標的とした薬剤としてBevacizumab、Aflibercept、Regorafenib、EGFR経路を標的とした薬剤としてCetuximab、Panitumumabが大腸癌に対する分子標的治療薬として確立された。一方で、c-MET/HGFやIGF1R、PI3K/Akt/mTORを標的とした薬剤の臨床試験が行われているが、他癌腫と比較すると大腸癌での開発状況はやや停滞状況であり、現在第III相試験が行われている薬剤はない。これらの経路が本当に標的として正しいのか、それとも各薬剤の効果が不十分なのかはさらに検討が必要である。
各薬剤を適切に評価するためには、治療開発の早い段階でバイオマーカーを同定し適切なデザインによる臨床開発を進めていくことが重要である。また、分子標的薬は標的分子が限られているため、特定の分子の働きを阻害しても別の代償的機構により耐性となる。そのため、単剤療法のみならず、POPに基づいた複数の分子標的薬による併用療法を開発早期から試みるべきである。近年、次世代シーケンサーの登場により基礎研究の進歩が急速に進んでおり、新しい標的分子やバイオマーカーが同定されることを期待したい。
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