L-OHPの急性反応
L-OHPではどんな種類の急性反応が生じるのでしょうか。
急性の異常感覚です。これは神経障害ではなく、カルシウムとマグネシウムの不均衡によるものです。最も重篤な反応は窒息のような呼吸困難感です。
これらの急性の副作用は用量依存的です。FOLFOX4ではL-OHPを85 mg/m2投与しますが患者の1〜2%に急性反応が起こります。またFOLFOX7ではL-OHPを130 mg/m2投与しますが3〜4%の患者に急性反応が認められます。
入院か外来か
患者は治療のために入院されるのですか。
FOLFOX4では、2週間ごとに最初の2日間に2時間の治療を受けるために来院するだけです。2日目には一旦5-FU持続点滴を中止し、LV(200 mg/m2)の2時間点滴と2回目の5-FU bolus投与(400 mg/m2)を行い、5-FU持続点滴を再開します。2日間の持続点滴で投与する5-FUの総量は1.2 g/m2で、この量を一定の流量で作動するディスポーザブルポンプを用いて投与します。投与終了時には、看護師が針を抜きに患者の家に行きます。
AIOレジメン
5-FUを3,000 mg投与するドイツのAIOレジメンについてどのようにお考えですか。
患者が1週間ごとに1日来院するAIOレジメンと、2週間ごとに2日間連続して来院するFOLFOX4とを比較した場合、結果は同じです。しかし、de Gramontレジメンのほうが来院間隔を長くすることができます。
FUFOX weekly L-OHPレジメン
FUFOX weekly L-OHPレジメン(50 mg/m2)についてコメントしていただけますか。
今日L-OHP 70 mg/m2を用いたFUFOXの結果が示されています。50 mg/m2の用量設定はFOLFOX6と同じdose-densityにするために必要で、70 mg/m2はFOLFOX7と同じにするために必要と考えられています。FUFOXは安全なレジメンであるように思われますが、1つ重要な問題点があります。つまり、FOLFOXレジメンでは血液学的毒性、すなわちgrade 3の好中球減少が認められますが、これが非常に悪い結果につながることはまずありません。一方、AIOレジメンでは、より多くのgrade 3/4の下痢が認められ、これは患者にとって不快な副作用です。FOLFOXレジメンでもgrade 3/4の下痢は10%の患者で認められますが、FUFOXレジメンではgrade 3/4の下痢が30〜40%の患者でおこってきています。従って、このFUFOXのようなレジメンを用いなければならない理由はどこにもありません。
de Gramont先生が指摘した点からみると、FUFOXに関しては補助療法に関して利用可能なデータがなく、また、今後も得られそうにないので、術後補助化学療法についてはFUFOXを用いることができないということになりますね。
現在進行中のRCT
先生の指示の下で、現在何件の無作為化比較対照試験(RCT)が進行しているのですか。
ちょうど今、AVANT試験を開始しようとしているところです。これはRoche社が支援する国際的な臨床試験で、FOLFOX4を対照にして、FOLFOX4+bevacizumabとclassical Xelox+bevacizumabとの比較検討をします。2群ともbevacizumabは1年間使用します。すなわち6カ月間の化学療法と1年間のbevacizumab投与を行う予定です。この試験にはすでに3,500人の患者が登録されており、もうじき開始します。
転移癌に関しては、維持療法の必要があるかどうかを評価したOPTIMOX2試験から次の段階の試験へと移行するところです。OPTIMOX1試験では、FOLFOX4とFOLFOX7を比較しました。FOLFOX7を6サイクル、5-FUを9カ月間、その後、AFOLFOX7を再導入しました。OPTIMOX2試験では、OPTIMOX1試験で用いた試験群はそのままで、FOLFOX7を6サイクル、5-FUで維持療法を行い、そして、ベースラインへ腫瘍が増悪時にFOLFOX7を再投与します。対照群では、FOLFOX7を6サイクル行った後に治療を中断し、ベースラインへまで増悪したときに再開するというものです。ベースラインへの増悪とは、腫瘍が最初の治療開始時の大きさに達することで、できればその直前に治療を再開すべきであるということを意味しています。
RECISTの判定基準
病変の増悪を20%のサイズ増加と定義しているRECISTの判定基準に困惑させられることがしばしばあります。登録時に腫瘍が10 cmで、その後1 cmまで減少したとします。しかしその後に、1.2 cmや1.3 cmになったら、それを増悪として定義しなければなりません。
それはRECISTでは増悪にあたりますが、臨床的意義のある増悪ではないと考えます。このRECIST判定基準をもとに治療再開の指標とすることはありません。
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