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de Gramontレジメンとその応用レジメン |
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まずは5-FU/LV持続静注療法に関するご研究についてお尋ねしたいと思います。米国よりも、特にEU諸国で多く用いられているこのレジメンとその併用療法の実際的な適用を中心にお話をお願いいたします。 |
de Gramont(以下細字):まず米国とEUの差ですが、プロトコルが新しく変更されたために差は小さくなっていると思います。
私は少なくとも3つの5-FU/LVレジメン、7つのFOLFOXレジメン、そして3つのFOLFIRIレジメンの開発に携わっています。これらすべてのレジメンをここでご説明してもあまり意味がありませんが、術後補助化学療法によく用いられているレジメンといえば、現在ではFOLFOX4です。これは最良のFOLFOXレジメンというわけではありませんが進行癌に対してだけでなく、第III相試験のMOSAIC試験の結果で、術後補助化学療法としても良好な結果を得ています。FOLFOX4レジメンは現在進行中の試験の対照群にもなっています。 |
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レジメンの利便性 |
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FOLFOX4レジメンは投与法が非常に難しいというのが日本における印象なのですが。 |
そうでしょうね。FOLFOX4では、2週間ごとに2日間投与しなければならないため、あまり使い勝手のよいレジメンではありません。
現在実施しているOPTIMOX試験では、FOLFOX4とFOLFOX7のレジメンを比較しています。FOLFOX7は明らかにFOLFOX4よりもはるかに施行しやすいものです。それはFOLFOX4が2日間にわたるレジメンであるのに対して、FOLFOX7は1日ですむレジメンだからです。今回のESMO会議でポスター発表されたOPTIMOX試験の結果は、FOLFOX7が少なくともFOLFOX4と同じく有効であることを示しています。FOLFOX4またはFOLFOX7を受けた患者の生存曲線はほぼ同様ですが、FOLFOX7はFOLFOX4よりもわずかに優れています。つまり、6サイクルのFOLFOX7は6カ月間のFOLFOX4と同様な治療成績になるだろうと結論することができるのです。
したがって、FOLFOX7は簡単かつFOLFOX4と同等以上の優れた結果をもたらすレジメンで、かつ毒性(神経障害と好中球減少)もわずかですが少ないものなのです。 |
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欧州の標準レジメン |
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欧州の一般的な臨床診療では、多くの臨床医が転移性結腸直腸癌の標準レジメンとしてFOLFOX4を用いているのでしょうか。 |
ほとんどは原法に似た、より簡単なレジメンを使っているようです。FOLFOX6か、FOLFOX7のいずれかではないでしょうか。 |
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フランスの標準レジメン |
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欧州で用いられている標準レジメンはFOLFOX4かと思っていました。しかし、フランスではFOLFOX4をいつも用いているわけではないということですか。 |
フランスでは、FOLFOX6が広く用いられています。ただし、このレジメンに問題があるとすれば、それは大規模な臨床試験でFOLFOX4と比較した研究がないことです。今はOPTIMOX試験の結果がわかってきましたので、今後はFOLFOX6よりもむしろFOLFOX7を使用する方向性が強くなっていくでしょう。 |
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フランス以外の標準レジメン |
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欧州のその他の国では状況はいかがでしょうか。 |
FOLFOX4は最も広く用いられているレジメンですので、やはりこれが実際のところ標準になっていると思います。
ドイツでは、術後補助化学療法にはFOLFOX4を用い、転移性癌にはFUFOXを用いています。しかし、FUFOXを支持する確固たるデータはありません。
英国では、modified FOLFOX6レジメンも用いています。FOCUS試験は、今回のESMO会議で発表されると思いますが、2,000例の患者を対象として、5-FU、L-OHPおよびCPT-11を投与するための最適な方法について検討をしています。
米国では現在、医師の80%が術後補助化学療法として最初にFOLFOXレジメンを用いるようになってきています。欧州よりも高用量を用いるようです。欧州ではCPT-11とL-OHPをバランスよく使用しています。米国では、5-FUボーラス投与と5-FU
46時間持続静注を用いるmodified FOLFOX6に移行しましたが、L-OHPは低用量(85 mg/m2)で、FOLFOX4と同じ用量です。 |
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5-FU bolus投与 |
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5-FU bolus投与はどのように行うのでしょうか。 |
5-FU 400 mg/m2 bolus投与は20 mL以下の容量を5〜15分間にわたって行います。安全性を高めるためには、15分間が最適です。 |