レジメン講座 | 抗癌剤併用レジメンの投与法を解説します。

FP:5-FU+Cisplatin(CDDP)

Ohtsu A, et al.: J Clin Oncol. 21(1): 54-59, 2003

Kang YK, et al.: Ann Oncol. 20(4): 666-673, 2009

FP療法は5-FUにCisplatin(CDDP)を加えた治療で、海外でも以前より標準治療の一つとして認識されていた。FP療法の切除不能進行胃癌に対するエビデンスは、JCOG9205試験1)において5-FU単独療法に対する試験治療群としてのUFT+MMC併用療法とともに採用された。ML17032試験2)においてはFP療法に対するCapecitabine+CDDP(XP)療法の非劣性試験が行われた。近年ではHER2陽性胃癌に対するTrastuzumabの有効性を検証するToGA試験3)においてもFP療法は採用されている。FP療法はS-1やOxaliplatinが登場するまでは長らく胃癌治療において日常臨床で使用されてきた。以前はS-1の内服が困難な場合などに用いられてきたが、Oxaliplatinの登場により、使用頻度は減少している。

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◆JCOG9205試験1)

切除不能進行胃癌患者に対する1次治療として、5-FU単独療法に対するUFT+MMC併用療法とFP療法の安全性と有効性を検証した無作為化比較第III相試験。本試験におけるFP療法の用量設定は5-FU:800mg/m2(day 1-5)に、CDDP:20mg/m2(day 1-5)を、4週間ごとに投与であり、毒性を考慮してCDDPは分割投与されている。全生存期間(OS)は、5-FU単独療法7.1ヵ月、UFT+MMC併用療法6ヵ月、FP療法7.3ヵ月であり、5-FU単独療法に対して併用療法の優越性を示すことができなかった。

◆ML17032試験2)

FP療法に対するXP療法の非劣性を比較した第III相臨床試験。Primary endpointであるPFSにおいて、それぞれXP群5.6ヵ月、FP群5.0ヵ月であり、FP療法に対するXP療法の非劣性が証明された。

◆ToGA試験3)

HER2陽性の切除不能進行胃癌に対する1次治療としてTrastuzumabの有効性を検証する国際共同無作為化比較第III相試験であり、日本からも症例登録されている。5-FU+プラチナ製剤に対するTrastuzumabの上乗せ効果をみる試験で、試験治療はFP療法またはXP療法のいずれかを選択可能なデザインであった。

■有効性

JCOG9205試験1)におけるFP群の有効性はOS 7.3ヵ月、PFS 3.9ヵ月、奏効割合34%であった。

  RR PFS OS
JCOG92051) 34% 3.9ヵ月 7.3ヵ月
ML170322) 32% 5.0ヵ月 9.3ヵ月

■安全性

JCOG9205試験1)におけるGrade 3以上の有害事象割合は好中球減少53.1%、血小板減少17.6%、悪心・嘔吐7.9%、下痢3.0%であった。

レジメン解説執筆:大阪医科大学附属病院 化学療法センター 山口 敏史 先生

References

  • 1) Ohtsu A, et al.: J Clin Oncol. 21(1): 54-59, 2003[PubMed
  • 2) Kang YK, et al.: Ann Oncol. 20(4): 666-673, 2009[PubMed
  • 3) Bang YJ, et al.: Lancet. 376(9742): 687-697, 2010[PubMed
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