レジメン講座 | 抗癌剤併用レジメンの投与法を解説します。

5-FU/LV

Sawaki A, et al.: Eur J Cancer Suppl. 7(2): 364(Abstract #6509), 2009
Yamaguchi K, et al.: J Clin Oncol. 37(4_suppl): Abstract #80, 2019
Hara H, et al.: Int J Clin Oncol. 23(2): 275-280, 2018

5-FU/LV療法は2009年、多施設共同研究であるISO-5FU10試験1)の結果として発表された5-FUのボーラス静注にLeucovorin(LV)を併用するレジメンである。
推奨薬剤投与量は5-FU:600mg/m2、l-LV:250mg/m2(2時間静注)とし、投与スケジュールは週1回投与、6週投与2週休薬とされている。経口摂取不能または高度腹膜転移を有する症例において、大量補液を要さず、かつ静注のみで投与可能な治療方法として日常臨床で広く使用されている。

有効性のデータを見る 安全性のデータを見る 

◆ISO-5FU10試験1)

大量腹水を除く切除不能胃癌患者に対する1次治療として、5-FU/LV療法群(n=89)のS-1療法群(n=88)に対する非劣勢を検証する第III相試験で、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)において5-FU/LV療法がS-1療法に非劣勢を示した。

◆JCOG1108/WJOG7312G試験2)

高度腹水または経口摂取不能の腹膜転移を有する胃癌患者に対する1次治療として、5-FU/LV療法群(n=51)と5-FU/LV+Paclitaxel(FLTAX)療法群(n=50)の安全性と有効性を検証する第II/III相試験である。

■有効性

ISO-5FU10試験1)における主要評価項目であるOSはS-1群8.3ヵ月、5-FU/LV群10.3ヵ月(HR=0.84、95% CI: 0.60-1.18)で5-FU/LV群が非劣勢を示した。副次評価項目であるPFSはS-1群3.5ヵ月、5-FU/LV群4.0ヵ月、奏効割合はS-1群29.5%、5-FU/LV群23.6%であった。
JCOG1108/WJOG7312G試験2)における5-FU/LVの有効性はOS 6.1ヵ月、PFS 1.9ヵ月、腹水コントロール割合58.8%であった。
高度腹水または経口摂取不能の腹膜転移を有する胃癌患者に対する1次治療における単施設のレトロスペクティブな報告3)では、5-FU/LVの有効性はOS 6.0ヵ月、PFS 2.4ヵ月、奏効割合25%であった。

  n RR PFS OS
ISO-5FU10 89 23.6% 4.0ヵ月 10.3ヵ月
JCOG1108/WJOG7312G 51 - 1.9ヵ月 6.1ヵ月
Hara H, et al. 30 25% 2.4ヵ月 6.0ヵ月

■安全性

JCOG1108/WJOG7312G試験2)の5-FU/LV群におけるGrade 3以上の有害事象割合は好中球減少30%、食欲不振47.1%、下痢5.9%であった。Haraらのレトロスペクティブな報告3)におけるGrade 3以上の有害事象割合は白血球減少7%、好中球減少17%、貧血3%、悪心17%、疲労7%、下痢3%であった。

レジメン解説執筆:大阪医科大学附属病院 化学療法センター 山口 敏史 先生

References

  • 1) Sawaki A, et al.: Eur J Cancer Suppl. 7(2): 364(Abstract #6509), 2009
  • 2) Yamaguchi K, et al.: J Clin Oncol. 37(4_suppl): Abstract #80, 2019
  • 3) Hara H, et al.: Int J Clin Oncol. 23(2): 275-280, 2018[PubMed
関連リンク
レジメン講座のトップへ
胃癌のレジメン講座のトップへ
大腸癌のレジメン講座のトップへ
このページのトップへ
MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc
Copyright © MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc. All Rights Reserved

GI cancer-net
消化器癌治療の広場