Ramucirumab単剤
Fuchs CS, et al.: Lancet. 383(9911): 31-39, 2014 |
Ramucirumabは、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR-2)に対する完全ヒト型IgG1モノクローナル抗体であり、VEGF-A、VEGF-C、VEGF-DのVEGFR-2への結合を阻害することにより、VEGFR-2の活性化を阻害し、内皮細胞の増殖・遊走・生存を阻害し、腫瘍血管新生を阻害すると考えられている。日本においては2015年3月に「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」に対して承認を取得し、その他、結腸・直腸癌や非小細胞肺癌に対する有用性が確認され、適応追加の承認を受けている。
◆REGARD試験1)
REGARD試験は、初回治療としてフッ化ピリミジン系製剤とプラチナ系製剤を投与された進行胃腺癌または食道胃接合部腺癌の二次治療として、Best Supportive Care(BSC)に対するRamucirumabの効果を検証する国際多施設共同第III相試験である(本試験には日本は参加せず)。適格症例355例がRamucirumab群とプラセボ群に2:1の割合で無作為化された。
■有効性
主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、プラセボ群3.8ヵ月、Ramucirumab群5.2ヵ月であり、Ramucirumab群で有意な延長を認めた(HR=0.776、95% CI: 0.603-0.998、p=0.0473)。また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、プラセボ群1.3ヵ月、Ramucirumab群2.1ヵ月であり、Ramucirumab群で有意な延長を認めた(HR=0.483、95% CI: 0.376-0.620、p<0.0001)。本邦では、Irinotecan、Paclitaxelなどの殺細胞性抗癌剤の適応がない患者に対するオプションに限定されると考えられる。
Ramucirumab群 (n=238) |
プラセボ群 (n=117) |
HR (95% CI) |
P値 | |
OS中央値 | 5.2ヵ月 | 3.8ヵ月 | 0.776 (0.603-0.998) |
0.0473 |
PFS中央値 | 2.1ヵ月 | 1.3ヵ月 | 0.483 (0.376-0.620) |
<0.0001 |
■安全性
Grade 3以上の有害事象はRamucirumab群/プラセボ群において、57%/58%に認められた。そのうち、高血圧症(8%/3%)の発現割合がRamucirumab群で高く認められた。一方でRamucirumabの投与と、疲労、食欲不振、嘔吐、貧血、出血、静脈血栓塞栓症、蛋白尿、消化管穿孔、瘻孔形成、infusion reactionなどの毒性の発現割合との関連性はなかった。
レジメン解説執筆:国立がん研究センター中央病院 消化管内科 今関 洋 先生
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