Saltz regimen (IFL regimen)
Saltz LB, et al.: New Engl J Med. 343(13): 905-914, 2000 |
5-FUの標的酵素はthymidylate shynthase (TS) であり、TSの発現量が低い腫瘍に有効性が高く、逆に高い腫瘍では有効性が低い。一方、CPT-11は標的酵素のtopoisomerase-I活性が高い腫瘍により効果を発揮する。TSとtopoisomerase-Iの発現は相関するとされており、5-FUの効果が期待できないTS高発現の腫瘍ではtopoisomerase-Iが高く、CPT-11が有効である可能性が高い。
Saltzらは、低用量LVと5-FUのbolus投与を併用するregimenにCPT-11 125mg/m2を組み合わせ、転移性大腸癌に対する1st-line治療としての効果をLV/5-FU(Mayo regimen) とCPT-11単独を比較armに検討した1)。この時のLV/5-FU+CPT-11をSaltz regimen (IFL) と呼ぶ。
■有効性
IFLの奏効率は39%、PFS中央値が7.0ヵ月、OS中央値が14.8ヵ月ときわめて高かった。そのため、FDAの抗癌剤諮問委員会は、IFLを進行再発大腸癌の第1選択として2000年3月に勧告した。
Saltz regimen | Mayo regimen | CPT-11 | ||
PFS中央値 (月) | 7.0 | 4.3 | 4.2 | |
奏効率 (%) | 50 | 28 | 29 | |
OS中央値 (月) | 14.8 | 12.6 | 12.0 |
■安全性
Grade 3/4の有害事象としては、下痢が22.7%に認められ、CPT-11を含むレジメンで多くみられる嘔吐は9.7%に認められた。なお、その後の大規模臨床試験において、投与開始後60日以内の死亡率が6.7%と高いことが明らかとなり、FDAはIFLの施行を厳重な管理下で行うようガイドラインを発表した。その後は、CPT-11の投与量を抑えたModified IFLが多くの施設で行われ、死亡率も1.3%に減少することも報告された。以上の経緯を経て、現在この療法は一般化している。
Reference
- 1) Saltz LB, et al.: New Engl J Med. 343(13): 905-914, 2000[PubMed]
GI cancer-net
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