レジメン講座 | 抗癌剤併用レジメンの投与法を解説します。

UFT/LV+Bevacizumab

Nishina T, et al.: Clin Colorectal Cancer. 15(3): 236-242, 2016

UFTはフッ化ピリミジン系の経口抗癌剤であり、5-FUのプロドラッグであるテガフールと5-FUの分解酵素であるジヒドロピリミジンデハイドロゲナーゼ(DPD)活性を阻害するウラシルを含んだ合剤である。5-FUは生体内でfluorodeoxyuridine-5'-monophosphate (FdUTP)に変換され、thymidylate synthase(TS)活性を阻害することによってDNAの合成阻害を引き起こす。Leucovorin(LV)は生体内で還元型葉酸に変換され、FdUTPとTSの複合体形成を増加させ、5-FUの効果を増強する役割を担っている。切除不能進行・再発大腸癌における1st-lineとして、UFT/LVと5-FU/LV(Mayo regimen)の有効性が検証され、OSには有意な差を認めなかった1)。また、UFT/LVにBevacizumab(BV)を上乗せする効果を検証した第II相試験が報告され、有効性と安全性を示した2)。大腸癌診療ガイドラインでは、高齢者や臓器機能障害を有し、強力な治療が適応とならない患者に対して、UFT/LV+BVレジメンが推奨されている。

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◆J-Blue試験

本試験は、日本で行われた多施設共同の試験で、75歳以上の切除不能進行・再発大腸癌患者を対象として、1st-lineにおけるUFT/LV+BVの有効性と安全性を検証した第II相試験である2)。適格症例55例で、年齢中央値は80歳と非常に高齢な患者に対する試験であったが、PSは0-1に限定されており、高齢でも比較的元気な対象に試験が行われたと考えられる。

■有効性

主要評価項目であるPFS中央値は8.2ヵ月であり、副次評価項目であるOS中央値は23.8ヵ月、奏効割合は40%と良好であった。80歳未満と80歳以上に分けた解析もなされたが、生存期間に有意な差は認めなかった(PFS中央値8.0ヵ月vs. 9.8ヵ月、hazard ratio 0.95、95% CI: 0.53-1.77、p=0.83)。
本試験は単アームの評価であるが、本試験と同様の患者に対して行われたUFT/LV単独の臨床試験(ECOG12993))の治療成績と比較すると、BVの併用によって生存期間の延長や腫瘍縮小効果の増強が示唆された。また、UFT/LV+BVレジメンは他のフッ化ピリミジン系薬剤単独とBVの併用レジメンと比較しても同程度の有効性であった。

  J-Blue
(n=55)
ECOG12993)
(n=55)
Capecitabine+BV4)
(n=140)
S-1+BV5)
(n=56)
奏効割合 40% 22% 19% 43%
PFS中央値 8.2ヵ月 4.6ヵ月 9.1ヵ月 9.9ヵ月
OS中央値 23.8ヵ月 13.0ヵ月 20.7ヵ月 25.0ヵ月

■安全性

5%以上のCTCAE grade(以下grade)3以上の有害事象として、貧血(8%)、悪心(6%)、下痢(6%)、倦怠感(8%)、高血圧(12%)を認めるが、grade 3以上の好中球減少(2%)や白血球減少(0%)はほとんど認めず、UFT/LV+BVレジメンの血液毒性は軽微であった。また、80歳未満と80歳以上の患者に分けて有害事象が検討されたが、grade 3以上の有害事象の発生に差を認めなかった。さらにUFT/LVとBVのrelative dose intensityは両薬剤とも91%であり、減量や治療延期が少なく、継続性の高いレジメンであると考える。これらのことから、UFT/LV+BVレジメンはPS 0-1の75歳以上、特に80歳以上の切除不能進行・再発大腸癌患者に対して有効性・安全性の高いレジメンであるといえる。

レジメン解説執筆:聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座 伊澤 直樹 先生

References

  • 1)Douillard JY, et al.: J Clin Oncol. 20(17): 3605-3616, 2002[PubMed
  • 2)Nishina T, et al.: Clin Colorectal Cancer. 15(3): 236-242, 2016[PubMed
  • 3)Hochster HS, et al.: J Clin Oncol. 25(34): 5397-5402, 2007[PubMed
  • 4)Cunningham D, et al.: Lancet Oncol. 14(11): 1077-1085, 2013[PubMed
  • 5)Yoshida M, et al.: Eur J Cancer. 51(8): 935-941, 2015[PubMed
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