経口薬による外来治療の成否は、患者のアドヒアランス(自覚と遵守)によっている。そのためには、患者にとって、利便性が高く、負担の少ない治療であることが重要である。
経口薬は、飲みやすさの点では一長一短があるが、それぞれに特徴があるので、患者の特性に合わせて、よりconvenient(patient friendly)な方を選ぶべきであろう。

例えば、外回りや会議で忙しいビジネスマンであれば、1日2回、食直後に飲むカペシタビンの方がよいかもしれない。また、自宅療養中の高齢者であれば、一般的なサイズで個数の少ないUFT/LVの方が服薬しやすい、というケースも考えられる。
薬価には差がある。ただし、70歳以上では、1ヵ月の外来での自己負担限度額が12,000円となっており(一般所得者)、さほど問題にはならないであろう。
カペシタビンの副作用で懸念されるのは、手足症候群である。手足のしびれや発赤、湿疹などの皮膚症状は、患者によってはQOLを大きく損なう場合もあり、十分な対策を行いたい。また、消化管毒性が強く現れる症例もみられるが、減量によって治まることが多い。