ケースカンファレンス〜トップオンコロジストはこう考える〜

監修中島 貴子 先生聖マリアンナ医科大学
臨床腫瘍学

日常診療で遭遇する症例を取りあげ、トップオンコロジストが治療方針を議論するケースカンファレンスをお届けします。

CASE2

2017年6月開催

肝多発転移・肺転移を有する
直腸癌に対する治療戦略

  • 設樂 紘平 先生設樂 紘平 先生
    国立がん研究センター
    東病院
    消化管内科
  • 沖 英次 先生沖 英次 先生
    九州大学大学院
    消化器・総合外科
  • 山ア 健太郎 先生山ア 健太郎 先生
    静岡県立
    静岡がんセンター
    消化器内科
  • 結城 敏志 先生結城 敏志 先生
    北海道大学大学院
    医学研究科内科学講座
    消化器内科学分野

症例プロファイルProfile

患者 64歳、男性
既往歴 高血圧
主訴 排便異常、血便
家族歴 特になし

現病歴

1ヵ月ほど前より便が出づらく血便も認めたことから前医受診し下部消化管内視鏡検査施行したところ、直腸癌を指摘された。精査にて直腸癌、多発肝転移、肺転移が疑われ当院に紹介された。

初診時現症

  • 身長176 cm、体重67 kg
  • PS 0
  • 体温 36.5℃
  • 血圧 151/98 mmHg
  • 脈拍 84回/分
  • SpO2 98%
  • 身体所見:直腸診にて肛門縁より5 cmの部位の2〜10時方向に腫瘤を触知

検査所見

【血液一般検査】

WBC 91×102/μL
NEUTRO 70×102/μL
Hb 15.8 g/dL
Plt 33.7×104/μL

【血液凝固検査】

PT 10.4 sec
INR 0.97
APTT 25.0 sec

【血液生化学的検査】

T-Bil 0.46 mg/dL
D-Bil 0.10 mg/dL
TP 7.5 g/dL
アルブミン 4.5 g/dL
UN 11.8 mg/dL
クレアチニン 0.79 mg/dL
Na 140 mEq/dL
K 4.2 mEq/dL
Cl 102 mEq/dL
AST 21 U/L
ALT 20 U/L
ALP 322 U/L
γ-GTP 100 U/L
LD 374 U/L
Glu 103 g/dL
CRP 1.55 mg/dL
CEA 24.7 ng/mL
CA19/9 42.5 IU/mL

【下部消化管内視鏡検査所見】

  • Raに1/2周性のType2病変を指摘 S(+), A(+)

【CT所見】

  • RaにT3病変
  • 肝臓多発転移 S3, S4, S4/8
  • 肺単発転移 右上葉

【病理組織学的検査】

病理組織診断

  • Adenocarcinoma, tub2
  • 高度に不整な腺管状に増殖する中分化の管状腺癌が認められる

RAS検査

  • All RAS野生型

論点

  • 同時多発肝転移・肺転移を有する直腸癌に対してどのような治療を行うのか?
  • 病変を全て切除した後に化学療法を行うのか?
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