ケースカンファレンス〜トップオンコロジストはこう考える〜

監修中島 貴子 先生聖マリアンナ医科大学
臨床腫瘍学

日常診療で遭遇する症例を取りあげ、トップオンコロジストが治療方針を議論するケースカンファレンスをお届けします。

CASE2

2017年6月開催

肝多発転移・肺転移を有する
直腸癌に対する治療戦略

  • 設樂 紘平 先生設樂 紘平 先生
    国立がん研究センター
    東病院
    消化管内科
  • 沖 英次 先生沖 英次 先生
    九州大学大学院
    消化器・総合外科
  • 山ア 健太郎 先生山ア 健太郎 先生
    静岡県立
    静岡がんセンター
    消化器内科
  • 結城 敏志 先生結城 敏志 先生
    北海道大学大学院
    医学研究科内科学講座
    消化器内科学分野

まとめ:トップオンコロジストはこう考える

設樂先生

設樂先生
多発肝転移・肺転移を有する直腸癌患者に対して化学療法を先行させ、腫瘍縮小後に病変を肝、直腸、肺の順にすべて切除することができた。化学療法は術前にはFOLFOX+抗EGFR抗体薬療法を8サイクル、術後は痺れと皮膚障害が発現したため、FL療法を4サイクルとした。


沖先生

沖先生
原発巣である直腸病変に関連した出血などの症状が軽度の場合には、化学療法を先行させ、腫瘍縮小後の切除を目指す。直腸の場合、切除後に人工肛門となる可能性もあるため、転移巣の切除を優先し、その後、直腸の切除を検討するとよい。


山ア先生

山ア先生
本症例のような多発転移例の治療方針は症例ごとにカンファレンスで決定している。転移巣が複数ある場合、内科医としては切除可能ならば早期の切除を望むが、術後の新規病変が出現するリスクなどを考慮して特に肺病変ではウォッチすることの重要性を学んだ。


結城先生

結城先生
腫瘍縮小後の切除を念頭に置いた場合、強力な腫瘍縮小効果を期待して化学療法に抗EGFR抗体薬を併用する。術後の化学療法は、この症例のように切除までのケモフリー期間が6ヵ月もある場合には行わず、そのまま経過観察することも選択肢となる。


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