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瀧内: 抗EGFR抗体を使うと9割以上の患者に皮膚障害が出現し、しかも皮膚障害が強いほど効果が期待できるという側面がある状況下で、それでも皮膚障害に対する拒否反応が強い患者さんもおられます。そのような場合、先生方はどのように対応されていますか。
佐藤(武): 皮膚障害と効果の関連性を先にお話しします。特に3rd-lineでcytotoxicな薬剤を使い切っている状況であれば、「ほかに効果が期待できる薬はありません」と説得します。そして、治療開始前から皮膚科医の診察を受けていただき、皮膚科医も含めたチーム医療の説明をして対応しています。
瀧内: できるだけ積極的に治療を受けられるような状況をつくるということですね。
佐藤(温): 私は、皮疹は「皮膚毒性」ではなく「皮膚所見」であり、「効果が現れていることの一面である」と説明したうえで、どのように管理していくのかを患者さんと話し合っていきます。
大村: 3rd-lineになるとPSが低下していたり、倦怠感やその他の有害事象が出ている方も多いです。「この薬剤を使うことでどの程度の効果が期待できるか」をしっかり説明した上で、続けられる方もいますが、やめてしまう方も少なくないですね。
坂本: 本症例は3rd-lineの治療に劇的に反応していますから、可能ならばこのまま続けたいところです。ただ、抗生剤の予防的投与をどこまで積極的に推奨できるかは難しく、できれば日本でも皮膚科医と合同で臨床試験を組んで、その効果を検証したいと思っています。
瀧内: 吉野先生はいかがですか。
吉野: 抗EGFR抗体の治療期間が長くなると、乾皮症や爪囲炎の対処に苦慮します。皮膚の水分が減ってしまうため、かなり老けて見えますし、皮疹が頭皮に広がると髪の毛も抜けてきます。本症例では、治療開始後28日に「皮疹に対する患者の気分の落ち込みが激しく、Grade 3と判断」とありますが、私はこの時点で、外見が損なわれることに深く傷つくタイプの女性に対し、「皮疹が出るのは効いている証拠だから頑張りましょう」と説得する自信はありません。CT画像をお見せして、抗EGFR抗体を減量すると皮膚症状が少し軽減されることもお話ししながら、ご本人に効果と皮膚症状を秤にかけて決めていただくしかないですね。
大村: 私は常々、進行再発癌の生存はQuality Adjusted Life Years(QALYs)で評価すべきであると考えています。コスメティックな面を強く気にされる女性の場合は、ただ生存が延びればよいというわけではないでしょう。
佐藤(武): 本症例はPS 0で、がんの随伴症状がないので難しいですね。随伴症状がある場合は、腫瘍マーカーがある程度下がってくるとその症状も軽減してくるので、皮膚症状があっても積極的に続ける方が多いのですが。
瀧内: やはりケース・バイ・ケースで対応するしかないということでしょうか。本症例に対する答えとしては、ミノサイクリンを含めた予防的治療を行い、6週目にはミノサイクリンの継続も含めて判断するという手厚い治療が求められると思います。
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