WEBカンファレンス | 臨床の場で遭遇しうる架空の症例に対して、それぞれの先生方に治療方針をご提示いただき、日常診療における治療方針の選択にあたっての問題点等を議論していただいています。

CASE 19 抗EGFR抗体の皮膚障害 2010年7月開催

CASE19 写真

症例プロファイル

患者 48歳、女性、フラワーアレンジメント教室講師
既往歴 子宮筋腫(37歳)
合併症 特になし
家族歴 特になし
嗜好品 機会飲酒
患者の希望 仕事に復帰したい。

現病歴

ステージIIIa上行結腸癌。アジュバントとして5-FU/LVを6ヵ月間投与。術後2年の経過観察中に多発肝転移が見つかり、切除不能と診断された。

身体的所見

・身長164cm、体重55kg
・PS 0
・腹部平坦、肝を3横指触知する以外、著変なし。

検査所見 3rd-line(治療開始前)

【血液学的検査】 【生化学的検査】 【腫瘍マーカー】
WBC 5,500/μL BUN 12mg/dL CEA 1,080 ng/mL
RBC 386×104/μL Cr 0.72mg/dL CA19-9 22 U/mL
Hb 11.5g/dL T-Bil 0.9mg/dL    
Plt 19.8×104/μL AST 42 IU/L  
    ALT 62 IU/L  
    γ-GTP 87 IU/L  

【腹部CT検査】

肝両葉に多発する肝転移を少なくとも10個以上認める(H3)。

治療経過

1st-lineとしてFOLFOX+Bevacizumab療法8サイクル施行後、神経毒性が強くOxaliplatinを除いて5-FU/LV+Bevacizumab療法を8サイクル投与した。1st-lineでPDとなったため、その後、2nd-lineとしてFOLFIRI療法を6サイクル施行した。
現在、3rd-lineとしてIrinotecan+Cetuximabを施行中。腫瘍縮小がみられ、マーカーの値も徐々に低下している。治療開始10日ごろから皮膚症状が出現し、皮膚症状に対するストレスを訴えている(詳細は下表参照)。


治療期間   CEA
10日ごろ 顔面および背中にざ瘡様皮疹(Grade 1) 425
28日 ざ瘡様皮疹が頭皮にも広がる
部分的に痛みを伴いGrade 3と判断。皮疹に対する患者の気分の落ち込みが激しい
120
35日 上肢の皮膚乾燥、爪囲炎(Grade 1) 75
42日 腫瘍の縮小が認められ、PRと診断 32

論点

・皮膚障害に対する予防的治療は行うべきであったか?
・テトラサイクリン系抗生剤の予防的投与は有効か?
・皮膚障害に対する拒否反応が強い患者には、どのように対応すべきか?
・チームとしての対応は?

出題:瀧内先生

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