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瀧内: ここまでのお話でチーム医療の重要性が指摘されましたが、先生方のご施設では、具体的にどのような形で行われていますか。
佐藤(温): 当院では看護師がコスメティックな面も含めたスキンケアの指導を行っており、患者さんもよく理解されています。医師は短い診察時間で全てをみているわけではないので、足の爪囲炎などを見逃さないように、点滴の際にチームスタッフに細かくみてもらっています。ただ、当院では皮膚科が別棟にあり、皮膚科との密なコンタクトが難しいという問題があります。現時点では、爪囲炎の皮膚科的処置が必要な場合や、スキンケアを含めた予防的治療にもかかわらず、まだ問題がある場合にコンサルトしています。
瀧内: 国立がん研究センター東病院の抗EGFR抗体治療のチームはどのような体制になっていますか。
吉野: 治療を開始する際に医師が外来で説明し、薬剤師が薬の説明をし、看護師がスキンケアの説明をします。その後はプライマリナース、プライマリ薬剤師が外来のたびにチェックし、説明を加えていくという流れで行っているので、医師の負担は軽いです。チームには国立がん研究センター中央病院の皮膚科医も参加しており、皮膚障害対策のアドバイスや看護師の指導をしてもらっています。また、爪囲炎がポイントになるので、看護師がテーピングの指導などを行っています。
佐藤(温): 爪囲炎が出た時点でも、まだ皮膚科には相談しないのですか。
吉野: 爪囲炎はGrade 2、皮疹はGrade 3になりそうだったら皮膚科に相談し、それ以外は現場で対応しています。東病院での皮膚科の診察は週1回と限られているため、皮膚科医とは「どのような対策をするか」「どの段階で相談するか」といったコンセンサスをとって対応しています。
●皮膚科医との連携を含めたチーム医療の体制を整え、最適な治療を
瀧内: 2nd-line以降になると、抗EGFR抗体の投与開始から約1ヵ月で皮膚症状が最高Gradeに達することが20050181試験でも報告されています(表3)5)。本症例も28日目に最高Gradeに達しているため、早期からの対応が望ましいといえます。
本日のディスカッションから、個々の患者さんで皮膚障害に対する重みが違うことがよくわかりました。それとともに、症例を問わず最適な治療を提供することが大切であることも確認しました。その意味では、治療開始前から皮膚症状に対する予防的治療を開始することが大切です。保湿剤以外に、ミノサイクリン等の予防的投与がよい結果をもたらすケースもあるということなので、実臨床に取り入れるのもよいと思います。
また、症例によっては強い爪囲炎が現れることもありますし、Grade 3以上の皮疹が現れることもありますが、各Gradeに応じて皮膚科医との連携をとるチーム医療の体制づくりがきわめて重要です。効果がみられていても、皮膚症状が強く現れ、治療の継続に消極的になる患者さんに対しては、節目節目で十分に話し合った上で、治療継続あるいは減量等の決定をすることが勧められます。本日はありがとうございました。
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