WEBカンファレンス | 掲載した治療法は、カンファレンス開催時点での最新知見に基づいて検討されたものです。

CASE2 大腸癌 2004年7月開催

私が考える治療方針

瀧内先生

補助化学療法は行わない

今回のようなstage II症例の補助化学療法に関しては、positive dataとnegative dataが混在しておりまだ結論が出ていません。ASCO2004(#3501)の報告ではpositive dataでしたから、強いて候補をあげればLV/5-FUになると思います。この症例では凍結切片が保存されていますが、今後、腫瘍マーカーや様々な予測因子など組織標本の検査結果からstage IIへの補助化学療法の適応がある程度明らかになってくると思います。

瀧内先生 写真

大村先生

LV/5-FUまたはLV/UFTによる補助化学療法

stage IIの症例とはいっても脈管が高い侵襲がありますから、stage II結腸癌のなかでは再発のリスク症例です。したがって、補助化学療法が必要と考えました。NSABP C-06(ASCO2004 #3508)によると、LV/5-FUとLV/UFTには結腸癌に対する術後補助化学療法として同等の効果が期待できます。有害事象などについて十分なインフォームドコンセントが得られれば、どちらかによる術後補助化学療法を行います。

大村先生 写真

久保田先生

補助化学療法は行わない

確かにQUASAR(ASCO2004 #3501)の3239症例の成績では、stage IIに対して有効性が示されていました。しかしこれは、70歳未満の若年者、T4、脈管侵襲が陽性、組織未分化、腸閉塞や穿孔で緊急手術を行ったハイリスク患者に対して薦められているものでした。今回の症例では脈管侵襲が陽性であること以外はハイリスクの条件に当てはまらないと考えます。

久保田先生 写真

佐藤先生

行うとすればUFTによる補助化学療法

やはりstage IIに対する補助化学療法は、賛否両論分かれていて難しいと思います。組織標本を取ってありますので、DPDやTP、TSなどの検査結果から考えるのも方法ですが、stage IIの手術単独の5年生存率は80%です。つまり、補助化学療法の恩恵を受けられるのは残り20%の方々だけであるということ、しかも補助化学療法による本来のリスクもありますから、患者さんに全部お話をして相談したうえで決めることになると思います。補助化学療法を行うとすれば原則、臨床研究という立場で考えます。

佐藤先生 写真

坂本先生

LV/5-FUによる補助化学療法

一応、QUASAR(ASCO2004 #3501)でエビデンスが出ていますからLV/5-FUです。もし承認外の薬剤が使用できるなら、LV/5-FU+oxaliplatinを考えます。これは、ASCO2004(#3619)で報告されたMOSAIC trialのsubset解析で、stage IIに対しても効果を上げていました。承認外ということでしたらもうひとつ、capecitabineも選択肢に加えてもよいかと思います。

坂本先生 写真
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