WEBカンファレンス | 掲載した治療法は、カンファレンス開催時点での最新知見に基づいて検討されたものです。

CASE2 大腸癌 2004年7月開催

症例プロファイル

患者 72歳、女性
主訴 なし
既往歴 糖尿病(40歳)
家族歴 母親が大腸癌にて70歳で死亡
嗜好品 飲酒・喫煙 なし
患者の希望 「先生のお考えいただいた最善の治療をお願いします。」と言われている。

現病歴

  • 平成16年4月より腹痛あり、便に少量鮮血が混じるようになった。体重の軽度減少があり(2kg/3ヶ月)痔を疑い近医で受診、Digitalでは異常なし。
  • 便潜血(+)であったため総合病院に紹介され、CEA;10.5ng/ml、CA19-9;80U/ml、注腸透視にてS状結腸にApple coreの狭窄を認めたため、大腸内視鏡を施行、S状結腸に全周性狭窄あり、生検では高分化腺癌。CT その他にて遠隔転移なきことを確認したうえで6月某日に手術を行った。手術所見は、HOPON1T3であった。IMA根部よりD3の郭清を行い、S状結腸切除を行った。文書によるICを得ていたため術中に癌部、正常部の凍結標本各2.0g、血清10.0mlを採取しdeep freezerに凍結保存を行った。術後経過は良好で2週間経過した時点で血液検査を行った。

身体的所見

  • 身長156cm、体重58kg
  • 体温36.7℃、血圧140/90mmHg、脈拍80/min
  • 心肺機能異常なし。
  • PS 1(入院しているが日中は時々臥床するのみ、普段は自由に歩行し通常の生活を行っている。)

病理結果:

  • Well differentiated adenocarcinoma,Borrmann U type
  • se,ly2,v1 腫瘍径 5.0×6.2cm
  • no(n1(0/8),n2(0/6),n3(0/2)) Stage U (Dukes'B)

近日中に退院予定であるが、補助化学療法を施行すべきか、またそのindicationについて、近年のevidenceによる状況、病理所見、腫瘍マーカーの変化、凍結標本の利用などについて討議が必要と考えられる。

検査所見1

血液学的検査
WBC 5400 /µl Neutro 54/%
RBC 420×104/µl Lympho ---/%
Hb 11.2/dl Mono ---/%
Ht ---/% Eosino ---/%
Plt ---/µl Baso ---/%
生化学的検査
TP 6.5g/dl T-bil 0.9mg/dl
Alb ---g/dl D-bil ---mg/dl
TG ---mg/dl AST 35U/l
TC ---mg/dl ALT 32U/l
Na ---mEq/l ALP ---U/l
K ---mEq/l LDH ---U/l
Cl ---mEq/l γ-GTP ---U/l
Ca ---mg/dl ChE ---U/l
UA ---mg/dl Amy ---U/l
BUN ---mg/dl CPK ---U/l
Cr 0.95mg/dl CRP ---mg/ml
BS 130mg/dl    

検査所見2

腫瘍マーカー
α-FP ---ng/ml    
CEA 7.2ng/ml    
CA19-9 50U/ml    
尿一般検査
尿蛋白 (−) 尿ウロビリノーゲン (±)
尿糖 (+) 尿ピルビン ( )
尿潜血 ( ) 尿白血球 ( )

出題:坂本先生

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