消化器癌治療の広場 GIcancer-net
患者 | 64歳、男性、無職 |
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既往歴 | 高血圧症(50歳時よりカルシウム拮抗薬を内服) |
家族歴 | 父親、胃癌 |
嗜好品 | 飲酒(1合/日)、喫煙(10本/日、45年間) |
患者の希望 | できるだけ自宅で過ごしたい。 |
便秘ぎみで、時折頭痛やめまいを感じることがあった。下血を認めたため近医を受診、当院を紹介された。下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に全周性の2型腫瘍を認め、腹部CT検査では肝両葉に多発性の腫瘤陰影を認めた。以上より、S状結腸癌同時性多発性肝転移と診断された。
・身長172 cm、体重60 kg
・PS 1
・血圧 152/80 mmHg
・眼瞼結膜に貧血あり。球結膜に黄疸なし。
・右肋骨弓下、鎖骨中線上に肝を5横指触知。辺縁は鈍で表面は凹凸不整。軽度の圧痛を伴う。
【血液一般検査】 | 【血液生化学的検査】 | 【腫瘍マーカー】 | |||
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WBC | 12,000/μL | BUN | 12 mg/dL | CEA | 350 ng/mL |
RBC | 315×104/μL | CRE | 0.81 mg/dL | CA19-9 | 31 U/mL |
Hb | 6.3 g/dL | AST | 35 IU/L | ||
Plt | 23.0×104/μL | ALT | 38 IU/L | ||
γ-GTP | 50 IU/L |
【腹部CT検査】
・肝両葉に多発性の腫瘤を認め、H3と診断された。
・リンパ節や肝以外の臓器への転移は認められなかった。
mFOLFOX6+Bevacizumab療法を1st-lineとして実施した。治療効果の判定をより迅速に行う必要があると判断し、CTは4週毎に実施した。また、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の投与も開始した。
画像上の変化 | 備考 | |
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2サイクル | 下部消化管内視鏡検査で原発巣の縮小を確認 肝転移巣 SD |
肝機能変化なし |
3サイクル | ― | 肝機能変化なし |
4サイクル | 肝転移巣 SD |
CEA:402 ng/mL CA19-9:51 U/mL AST:47 IU/L ALT:66 IU/L γ-GTP:78 IU/L |
5サイクル | ― | AST:50 IU/L ALT:80 IU/L γ-GTP:90 IU/L |
・2nd-lineに移行するか、1st-lineを継続するか?
・1st-lineを継続する場合は、どの時点で2nd-lineに移行するか?
・2nd-lineはどのレジメンを選択するか?
・肝転移に対し、肝動注などの局所治療を行うか?
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