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CASE3 大腸癌肺転移 2004年11月開催

CASE3 写真

ディスカッション 2

CPT-11の投与量が問題

大村:この方のポイントは非常にPSがいいことです。それから完璧な告知を受けています。例えばBSCだったらMSTはどのくらいですかね。

瀧内:そうですね。BJC(Br J Cancer 82: 1789-1794, 2000)のデータでは5ヵ月くらいでしょうか。

大村:この方は癌が発見されてから既に多くの治療を受けていますから、それから考えるとMSTはもっと短いかもしれませんね。そうしますと、いまの日本でしたら、先生方がおっしゃられたとおりCPT-11ですかね。

佐藤:いま承認されているものであればそうなりますね。

大村:oxaliplatinの個人輸入など、他にもいろいろ方法はあると思います。また、このような患者さんは最終的に外来治療にもっていくとしても、1クール目は入院していただくべきでしょう。

佐藤:その辺は大事な点ですね。

大村:僕もCPT-11を使いたいと思います。積極的な治療に対する患者様の希望が強いので、Saltz regimenをmodifyして施行したいところです。まず、CPT-11の投与量が問題になりますね。2年ほど前のJCOにビリルビンがその施設の上限の1.5倍から3倍までの人では3週毎のCPT-11投与を350mg/m2から200mg/m2にdose downすべきという報告がありました(JCO 20: 4303-4312, 2002)。その報告にしたがいますと、本例に使用するCPT-11の投与量は40%減ぐらいになりますか。

瀧内:7分の4ですから約60%弱ですね。

大村:この患者さんでは、ビリルビンが上昇している基礎疾患が肝硬変であることから、さらに少なくすると思います。安全第一ということで、50mg/m2まで下げてweeklyで投与します。

坂本:Dose upはされますか。50mg/m2ではちょっと低いような気がしますが。

大村:ビリルビンが高い症例では血中のSN38も高値を保つと考えられます。それが血液毒性を高める機序ですから。したがって、抱合能が正常である症例と異なり、CPT-11の投与量を減らしても抗腫瘍効果は期待できると思います。もちろん、可能ならばdose upしてもいいでしょう。

坂本:抗癌剤というのは毒性がでるところと有効性がでるところとの幅が狭いので、あまり低いdoseだと効果が期待できないdoseで漫然と使ってしまうというリスクもありますからね。

大村:おっしゃるとおりですね。いずれにしても、瀧内先生と佐藤先生から第一選択肢としてはBSCだろうというご意見が出たような症例ですので、慎重を期すべきだと思います。

佐藤:過去に、大腸癌術後の肺転移再発に対し、Saltz regimenがずっと効いていた症例で、効かなくなった後にTS-1を使ったらまた効いたという経験をしたことがあります。そのときに初めて、FU剤の静注と持続というのは臨床的にも違うという印象を受けました。

大村:この方の場合は、TS-1、LV/UFTは効かなかったけれども、静注でRPMI regimenをやったらそれだけで効果があるかもしれませんね。

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