坂本:その可能性はありますね。
大村:また、Saltz regimenをしばらく続けて、不応性になった場合にはLV/5-FUをそのままにしてoxaliplatinをオンしてもいいでしょう。
佐藤:oxaliplatinの追加はいいデータが出ていますね。
坂本:なるべくCPT-11で引っ張っておいて。
大村:そのとおりです。
坂本:もし可能だったらUGT-1A1を測定して、UGT-1A1遺伝子に欠失がなければ、少しずつdose upされていくのも一つの手ではないかと思います。
佐藤:実際のところ僕らの場合も、BSCという選択肢は出すけれども、合併症もしくはPSが低下している症例にも治療を行うことは多々あります。そのときはbiweeklyを基本にします。というのはPSの悪い方の中には、1週間過ぎた頃から一気に血小板、白血球が下がる方がいらっしゃいます。そのときに2回目を投与してしまうとちょっと危険な場合があります。ただこれは経験的なもので何ともいえないのですが。だからbiweeklyで1回目を投与して1週間様子を見て、それから2回目を投与するということで考えます。
大村:そういう場合、最終的にはweeklyにもっていくのですか。
佐藤:いや、それでうまくいけばそのままいきます。投与量の問題なのですが、biweekly投与法としての量が十分に入るようであれば、外来でも投与できるのでそれでいいと思っています。
大村:確かに、biweeklyは患者さんにとって楽ですね。
坂本:私は大村先生が言われたように、最初はweeklyで弱めにいって、2〜3週目に入院していただいてしっかり様子を見るというほうがいいような気がします。
佐藤:ちなみに瀧内先生でしたら、CPT-11をどうしてもやってほしいといわれると、どのぐらいの量を使用されますか。
瀧内:使いたい薬剤としてはCPT-11ですけれども、僕はまずBSCを説得します。得られる利益よりも不利益のほうが多分大きいだろうということをもう一度きちんとお話しますが、それでもやってくれといわれたら、僕は5-FUを持続静注するLokich regimenをやります。Pharmacokineticsからいけばちょっとおかしいと思われるかもしれませんが、spiritual painに対する癒し効果の狙いもありますので、どうしてもということであれば、Lokich regimenとして5-FU 300mgを持続静注します。
大村:CPT-11は使わないということですか。
瀧内:ちょっと危険かなと思います。正直なところこのデータでは使えないと思います。
大村:なるほど。我々もmodified Saltz regimenで使用するLV/5-FUの量は決まっているのですが、CPT-11を何mgにするかでいつも悩みます。
佐藤:もし5-FUでいくのであれば、私はRPMI regimenでいこうと思っていたのですが、持続にされるというのはどうしてですか。
瀧内:RPMI regimenは血液毒性が出やすいので、この条件ではきちんとしたRPMI regimenはできないという判断です。持続静注だとどちらかというと粘膜障害がメインに出ますが、血液毒性はmeta analysisでも有意に少ないと思います。
大村:しかし、持続に比較的薬物動態の近いTS-1がだめですからね。
瀧内:ですから先ほども申しましたが、持続でいくというのは、本当はBSCに近いような意味合いでの治療です。本人の希望をできるだけかなえてあげたいということで、決していい治療法とは思っていません。