久保田:先ほど瀧内先生から外来portのお話がありましたが、実際、portの抜針はどうなさっていますか。
瀧内:われわれの施設ではまだ port設置は行っておりませんが、今後FOLFIRIやFOLFOXを実施する場合には必要になるかと思います。たぶん、患者さんご自身で抜針していただくようになると思うのですが。
久保田:国立がんセンターでFOLFOX 6を実施していて、患者さんは2週に1回外来で2時間のbolus投与を受けて、その後、46時間後の抜針は自己抜針すると聞きました。現在は大きな施設ではDPCが導入されており、外来化学療法が非常に重要になってきました。これに加えて患者さんのQOLを考えると自己抜針も考慮しなければいけないと思います。
坂本:ある意味では一番合理的ですね。
久保田:そのportは肋骨の上に入れているとのことですが、鏡を見ないと抜針できないそうです。
大村:本当は左の肋弓下が一番よいのです。腹部の皮膚の痛覚は鈍いですし、抜針が自分でできますから。肋弓下だとお腹にぐっと力を入れて、腹筋でこらえることもできます。また、肋弓下がよいもう 1 つの理由に、皮下脂肪や筋肉といった軟部組織が豊富で、port 上の皮膚が圧迫壊死に陥る危険が少ないことが挙げられます。大胸筋もクッションの役割を果たしますが、萎縮してくると port が真上の皮膚を圧迫し、やがてむき出しになる可能性が出てきます。
久保田:腕に入れるのがよいと聞いたこともありますが、夏に薄着になるとちょっと目立ちます。でも、私は肝動注で portを使うときは右下腹部に入れています。
坂本:昔から、外科医が治療をするときにはそういった方法を使っていましたね。
久保田:話は変わりますが、FOLFOX 4だと2週に2回通院しなければならないという点がありますが、将来的にはどうでしょうか。
坂本:FOLFOX 4だとLVの投与が2回ですからね。
瀧内:将来的にはFOLFOX 6になると思うのですが、L-OHPの承認条件が非常に厳しいということを考えますと、最初はFOLFOX 4で治療するのが一番よいのではないかと思います。
坂本:FOLFOX 6や 7 を評価する研究を行うという principleで、正式に病院のIRBを通してFOLFOX 6などのclinical trialを実施するというのも 1つの手段だと思います。
久保田:ただ、日本人に関してはFOLFOX 4のデータすらないわけですから、前向きのデータをきちんとつくることが大事ですね。
坂本:それは必要不可欠なことだと思います。