WEBカンファレンス | 掲載した治療法は、カンファレンス開催時点での最新知見に基づいて検討されたものです。

CASE8 進行大腸癌 2005年7月開催

CASE8 写真

私が考える治療方針

久保田先生

化学療法により腫瘍が縮小したら切除

この症例はstage IIのS状結腸癌で、TS-1投与を半年間受けていながら7ヵ月目に再発しています。多発肝転移で、これほど短い経過をとる場合は同時性であると考えられますので、肝切除も考慮に入れながら、まずは化学療法を行います。First lineはFOLFIRI regimenで、responseがなければFOLFOX regimenに変更します。腫瘍の縮小がみられた段階で腹腔鏡下に切除し、その後、焼灼します。

久保田先生 写真

大村先生

大腸癌肝転移では可能な限り切除

大腸癌肝転移では肉眼的に見える腫瘍をできるだけ取り除いたほうが予後がよいので、まずはCTAPを施行して切除可能かどうかを判断します。切除可能であれば、摘出術あるいはマイクロ波凝固壊死療法(MCT)で焼灼します。補助化学療法には、FOLFIRI regimenを2〜3サイクル行います。切除不能であれば、first lineはFOLFIRI regimenを選択します。Second lineは、FOLFOX 4、あるいはmFOLFOX 6 regimenです。Cetuximabやbevacizumabは、cost utilityがかなり低いので現時点では推奨できません。

大村先生 写真

佐藤先生

FOLFOX regimenからCPT-11へ

手術適応については迷いましたが、進行が早いこと、他にも転移巣がある可能性があることから、化学療法を選択します。First lineがFOLFOX regimenで、それが無効な場合にはCPT-11ベースに切り替えますが、FOLFIRIは選択しないと思います。TS-1の効果が全くないようですので、5-FU持続静注の継続は、副作用の面を考えるとメリットが少ないと思います。また、患者さんが希望すれば、FOLFOXにbevacizumabを併用します。

佐藤先生 写真

瀧内先生

Second lineのCPT-11は単剤で十分な効果が期待できる

手術を行う前にFOLFOX 4かmFOLFOX 6を実施し、腫瘍が縮小したら切除します。Second lineはCPT-11 150mg/m2を単剤投与します。適応外になりますが、可能であればfirst lineがFOLFOX+bevacizumabで、second lineがCPT-11単剤、third lineがCPT-11+cetuximabという治療を試してみたいですね。

瀧内先生 写真

坂本先生

進行結腸癌に対して考えられるすべての治療を試みる

患者さんは現在考えられる最善の治療を求めています。手術が可能ならば実施し、できるだけ腫瘍量を減らします。化学療法はevidenceが示されている最強の方法から試し、first lineは FOLFOX+bevacizumab、second lineはFOLFIRI、third lineはCPT-11+bevacizumab+cetuximabとします。Refractoryになれば、ヒト型モノクローナル抗体A33やWT1ワクチンなどによる免疫療法の臨床試験への参加も試みます。未承認薬を臨床で使う場合は、一例ごとに、各施設 IRBの承認と患者さんのインフォームド・コンセントを得ることが必要です。

坂本先生 写真
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