WEBカンファレンス | 掲載した治療法は、カンファレンス開催時点での最新知見に基づいて検討されたものです。

CASE8 進行大腸癌 2005年7月開催

CASE8 写真

症例プロファイル

患者 65歳、女性
主訴 なし
既往歴 48歳のとき胃潰瘍、その後薬剤内服にて治癒したといわれている
家族歴 父 大腸癌
嗜好品 喫煙 なし  飲酒 たしなむ程度
患者の希望 多少の副作用は我慢するので、病気を少しでも抑えて欲しい。費用がかかってもできる限り最善と思われる治療をして欲しい。

現病歴

平成16年9月12日、他院にてS状結腸癌に対しS状指腸切除術を施行された。切除標本で腫瘍径は6.4×5.2cm、病理組織学的所見はtype2、well、se、ly2、v2、ow-、aw-、n0、stage IIであった。術後、同院にてTS-1の投与を半年間受けた。

平成17年4月、血清CEA値の上昇(41.5ng/mL)を認めたためCTを施行、肝右葉と左葉にそれぞれ2個の転移巣を指摘された。同院で行われたCTガイド下針生検で、大腸癌肺転移と診断され当院に紹介された。

身体的所見

  • 身長157cm、体重52kg
  • 最近6ヶ月間に体重の変化を認めていない
  • 体温36.5℃、血圧130/75mmHg、脈拍78/min
  • 呼吸音正常、心雑音を聴取せず
  • 腹部は平坦、軟
  • 肝、脾は触知せず、腹水なし
  • 眼瞼結膜、貧血なし・黄疸なし
  • PSは0

前医にて病名、再発の状態、これまでに行った治療の内容やそれらの効果などについてすべて 説明を受けている。

検査所見1

血液学的検査
WBC 4,700 Neutro 60%
RBC 449 Hb 16.7
Plt 16.2    
生化学的検査
TP 7.2 Alb 3.3
Na 140 K 4.2
Cl 102 Ca 9.1
BUN 13 Cr 0.65
T-Bil 0.8 AST 22
ALT 28 ALP 230
γ-GTP 35    
腫瘍マーカー
CEA 70.5    

検査所見2

胸部〜骨盤CT検査所見

  • 肺転移なし、縦隔転移なし。
  • 肝右葉に4.0×4.0cm、3.0×3.0cm、また左葉に2.5×2.0cm、1.0×1.0cmの転移巣を認める。
  • FDG-PETで肝両葉に異常集積あり、他部位には異常所見なし。腹水なし。

上部消化管内視鏡検査所見

  • Pylorusに胃潰瘍の瘢痕あり。

全結腸内内視鏡検査所見

  • S状結腸切除術後状態。他にポリープ等異常所見を認めず。

出題:坂本先生

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