
Q. はじめに、ご施設の概要をお教えください。
当院は、富山県西部・人口40万人地域内の高岡市にある20診療科、全681床の総合病院で、第三次救急の指定病院でもあります。富山県の4医療圏のうち高岡医療圏に属していますが、実際には医療圏を超えた地域から患者さんが集まっています。また、富山県では7つの病院が地域がん診療連携拠点病院に指定されていますが、がん患者さんの総数としては当院が最多となっています。
Q. 総合的がん診療センター開設までの経緯をお教えください。
以前から当院では、外科のなかに、上部消化管グループ、下部消化管グループ、肝胆膵グループ、乳腺グループがあり、各グループがアクティブにがん診療に取り組んでおり、外来化学療法も外来治療室で実施されていました。また、肺がんにおいても相当数の症例を診ているという状況がありました。そこで、各分野の専門の先生方にがん種別診療科のトップに就いていただき、その先生方を中心にがん種別の診療チームをつくってセンター化したらよいのではないかと考えました。この構想を院長に具申したところ、意外にもすんなり受け入れられて、実現化することになったのです。
Q. センターの組織体制をお教えください。
診療グループに分かれていることが外部から見てもわかるように、センター内に「大腸がん科」「胃がん科」「肺がん科」「乳がん科」「肝がん科」などのがん種別診療科を設けました(図1)。一方で、化学療法の分野では、がん薬物療法専門医の認定資格ができるなど、臓器横断的な診療体制の必要性も増してきたことから、「腫瘍内科」「内視鏡治療科」「血管内治療科」「緩和ケアチーム」など、臓器横断的な診療科もセンター内に設けることにしました。こうすることで、がん種別診療科の医師と協力して診療にあたれる体制が整ったわけです。
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図1. 総合的がん診療センター組織図

Q. 各診療科とセンター各部門の連携はどうなっていますか。
がん患者さんの治療をすべてセンターで行うということではなく、各診療科の患者さんとして治療を行います(図2)。治療方針についてはキャンサーボードで決定していますが、レジメンの指示などは各診療科の医師が出します。センターは、新規レジメンの受付と、各診療科の医師の指示に基づいて現場で化学療法を実施する役割を担います。なお、外来化学療法に関しては、すべてセンター内の外来治療室で行っています。
図2. 厚生連高岡病院におけるがん診療の流れ(大腸がんの場合)

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