消化器癌治療の広場
消火器癌治療の現場から
第8回 厚生連高岡病院総合的がん診療センター(取材日:2009年10月5日)
 Interviewer: 大村健二先生(厚生連高岡病院 外科 診療部長)

 
厚生連高岡病院ホームページ

5. 取材を終えて

センター長からのコメント 柴田 和彦先生

 がん診療のセンター化を構想しているときは、私がセンター長になることはまったく想像していませんでしたが、院長に具申した際、「センターのトップは言い出した人間がやりなさい」と言われ、まとめ役を仰せつかることになりました。幸い、各診療科の先生方や薬剤師、看護師などのスタッフの協力も得られ、順調に運営できています。しかし、臨床試験・臨床研究のサポートなど、足りない部分もまだまだあります。当センターが本当の意味で完成するのは病院の改築後になるかと思いますが、ハード面でもソフト面でも、さらに充実したセンターにしていきたいと考えています。

薬剤師からのコメント 高瀬 美咲枝薬剤師

 センター開設以降、がん薬剤情報室の業務としてレジメンの管理・審査を一手に担当することになり、薬剤の専門職として非常にやりがいを感じています。また、がんに関わる仕事は以前から携わっていましたが、センター開設後は、患者さんと接する仕事が増えています。最近は、切れ味の鋭い内服の抗がん剤も使われる機会が増えているため、そうした薬剤の服薬指導にも力を入れる必要性を感じています。

看護師からのコメント 高橋 美由喜看護師

 当院には専門的なスタッフが大勢いるわけではありませんが、数少ないメンバーでも各自が最大限の努力をすることを常に心がけることによって、地方の病院でもきちんとした医療を提供していくことができると信じています。これからも日々、がん診療に取り組むチームの一員として、自分がどのような役割を果たすべきなのかを考えながら、仕事に取り組んでいきたいと思います。

インタビュアーからのコメント 大村健二先生

 私自身も、2008年10月より当院のがん診療に携わっていますが、センターは柴田先生のリーダーシップによって1つにまとまり、着実に成果をあげておられます。例えば、レジメンについては、センターでは「phase IIの臨床試験が終了し、publishされたものでなければ対象にしない」と明確に規定しています。こうしたレジメン管理は、いわば当院で施行される"レジメンの見張り役"を果たしており、リスクマネジメントとしても上手く機能していると思います。また、外来治療室は狭いスペースにもかかわらず、患者さんのプライバシーに配慮したレイアウトがなされているなど、患者さんの視点に立って工夫をされています。薬剤師、看護師もそれぞれに認定資格をもち、日々研鑽を重ねておられますが、資格は取るのも維持していくのも大変です。彼女たちに続く人材を育成するためにも、一層のサポート体制の充実が望まれます。
 最近は、がん化学療法中の栄養管理が注目されつつあります。がん患者さんのQOLを良好な状態に保つためには、化学療法中の栄養サポートを充実させていかなければなりません。私もNST(栄養サポートチーム)の一員としてセンターと連携しながら、がん患者さんのQOL向上のために尽力していきたいと思います。

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