
Q. センターの設立前後で、変わったと実感されていることはありますか。
がん診療のすべてをセンターで行うと考えた場合、理想的なセンターにするために何が欠けているのかということが、はっきり見えるようになったと思います。今後、欠けている部分を補い、よりよいがん診療体制をつくっていくことを目指しますが、それには現状を踏まえて、進むべき方向を指し示す必要があります。そうした点で、センター化することには意味があったと思っています。
センターができて、これまでの業務内容が大きく変わりました。新たに加わったのはレジメンの管理です。また、薬剤師は薬剤部内での業務に終始し、患者さんと接する機会はほとんどないという時代もありましたが、外来治療室での患者さんの指導をするようになり、患者さんと直に接する機会が増えました。
Q. 今後の展望をお聞かせください。
当院では病棟の改築が計画されており、来年に着工予定です。現在の総合的がん診療センターは、センターといっても専用の建物があるわけではなく、人を集めたソフトが中心でしたが、改築を機に、ハード面でもきちんとしたセンターを構築していきたいと考えています。
具体的には、腫瘍内科や緩和ケア科といった臓器横断的ながん診療科の外来と、化学療法を実施する外来治療室とを上手くリンクさせるような配置です。その横には、スタッフのためのスペースも必要ですし、がん患者さんのサバイバーシップを支えるような部門、例えば「がんサロン」のようなものも設けたいと考えています。そこでは、がんに関するさまざまな資料や本、インターネット端末などを設置し、患者さんやご家族に自由に利用していただけるようにしたいと思います。
また、当院では各診療グループが新たなエビデンスをつくろうと、積極的に臨床試験や臨床研究を行っていますが、センターとしてすべてを把握できているわけではありません。今後は、がんの臨床試験・臨床研究に関してはセンターでリアルタイムに把握して、ウェブ上で患者さんに情報を公開したいと考えています。そのためには、専任のCRCをスタッフに迎え、「がん臨床試験支援室」をつくる必要があります。これらの設備をできればワンフロアに収め、名実ともにセンターと呼べるものにしたいと思っています。
|