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柳原 一広 先生(以下 柳原): 京大病院外来化学療法部は、医師8名、専任看護師5名、専任薬剤師常時2名(8名の専任薬剤師による交代制)、看護助手、Clinical Research Coordinatorr(CRC)などで業務を行っています。2003年の開設以来、5年間の患者数は2,408名(内訳:消化管、大腸癌・胃癌等:545名、胆肝膵癌:399名、肺癌:649名、乳:357名、悪性リンパ腫:240名、その他:218名)、延べ患者数は56,682名、延べ抗がん剤投与者数は36,183名にもなりました。開設当初は1日の平均患者数は26.0名でしたが、現在では60.4名となり、開設当初の倍以上の患者さんを診察しています(図1)。大腸癌に限ると、患者さんの数は5年間で約300名となっています。
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柳原: 外来化学療法部に来られる患者さんの多くは、初診はそれぞれの診療科を受診し、その診療科から外来で治療をして欲しいという依頼を受けて、実際に患者さんを診察することからスタートします。初回は、まず本当に化学療法を行うべきか否かを判断するための診察となります。そして、患者さんには最初にオリエンテーションを受けて頂きます。実際に治療が始まるとゆっくりと話をする時間がとりにくくなりますので、このオリエンテーションでは、医師、薬剤師、看護師がそれぞれの立場で、今後外来で治療を受けるに当たっての説明を約2時間かけてじっくり行います。特に、病院外で副作用が出現した場合の連絡方法や自己管理ノートの説明が中心になります。自己管理ノートとは京大病院外来化学療法部がオリジナルで作成しているもので、外来化学療法を行うすべての患者さんに配布しています(図2)。このノートには、外来化学療法の説明や副作用、そしてその対処方法が簡潔に記載されており、また、カレンダー式の自己チェック表もついています。この自己管理ノートは患者さん自身で自分の体調を管理、把握するためのツールであり、またわれわれ医療スタッフと患者さんとのコミュニケーションツールでもあり、そして医療スタッフが患者さんの状態を知るための重要な情報源にもなっており、当院の外来化学療法を行ううえでは欠かすことのできないものです。
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その後、患者さんには初回の外来治療の日を迎えて頂くことになるわけですが、実際の治療日は、患者さんにまず問診を行い、血液検査の結果およびその患者さんの状態をみて、化学療法をその日に行うかどうかを決定し、治療の中止であればその旨をご説明しご帰宅頂くことになります。
外来では、副作用の連絡を受けて来院頂く患者さんや、定期的に副作用チェックを行う患者さん、抗がん剤による治療を受けてはいないけれども以前から継続的に診察している患者さんなど、化学療法を受ける患者さんだけではなく、さまざまな患者さんを診察しています。
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