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東北大学病院化学療法センター(以下 化学療法センター)は、近年がん治療を取り巻く医療環境・社会環境が変化していくなかで、患者サービスの向上、すなわち快適な空間での化学療法をより有効かつ安全に提供すべく、2004年1月に設置が決定され、そのわずか数ヵ月後の2004年4月に中央診療施設型の化学療法センターとして開設された。今回は、東北大学病院化学療法センターにおける設立から現在までの経緯、また、総合病院という性質上、複数の診療科が関与するなかでの組織運営の方法やワークフローなどの取り組み、さらに地域における役割などについて東北大学病院腫瘍内科 加藤 俊介 先生にお話を伺った。
東北大学病院化学療法センターは2004年1月に設置されることが決定しました。その後、院内の関係する診療科の医師、薬剤師、看護師、検査技師、事務職および診療支援システムを担当するメディカルITなどのスタッフより組織されたワーキンググループによって、運用マニュアルや各診療科における化学療法プロトコールの集約および統一についての準備が進められ、2004年4月に「東北大学病院外来化学療法センター」として開設され、その約1年後の2005年5月には、「東北大学病院化学療法センター」に改称しました。化学療法センターには、院内で行われる化学療法すべてを管理・統括していくことを目的として、化学療法プロトコール審査委員会が設置され、院内における外来・入院すべての化学療法プロトコールの審査を行っています。その後2008年7月に、東北大学病院にがんセンターが設置され、その下部組織に移行しています。
開設当初は専任スタッフ4名(看護師3名、薬剤師1名)、兼任スタッフ4名(医師2名、事務職2名)で12床のベッドからスタートし、外来化学療法のみを行う体制でした。現在は医師3名で、腫瘍内科と兼任という形で設立から携わっている石岡千加史教授(写真:腫瘍内科医師と専任医師 前列中央)と私(同:前列右)がそれぞれセンター長、副センター長を務めている他に、専任助教が1名おります。コメディカルスタッフは、がん薬物療法認定薬剤師1名を含む薬剤師4名、がん化学療法看護認定看護師1名を含む看護師8名に加えて、看護助手2名、受付スタッフ2名で運営しています。設備については、2006年の新病棟への移転に伴いリクライニングベッド7床、小児治療室1床を含む31床まで増床しました(写真:点滴室)。
2008年度の化学療法センターにおける治療実績をみますと、年間処方せん件数(患者数)は7,660件、月平均は638.3件で1日平均は31.4件となっています。処方件数の多い診療科は、腫瘍内科(3,150件)、乳腺外科(1,757件)、肝胆膵外科(960件)、婦人科(551件)、血液免疫科(382件)、胃腸外科(190件)の順に多く、がん種別の利用割合をみますと、大腸癌、乳癌、膵癌で全体の半数以上を占めています(図1)。
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