消化器癌治療の広場 GIcancer-net
化学療法センターの開設にあたり、ワーキンググループが各診療科の登録プロトコールを集約しましたが、その際プロトコールの微妙な違いが問題となりました。たとえば、腫瘍内科と各診療科で同じ抗がん剤を用いたプロトコールの申請があっても、使用する前投薬の内容や投与のタイミング、また制吐剤の内容などがわずかに違っており、これらを無条件に登録した場合、誤投薬などのリスクが高まることが危惧されました。そこで、東北大学病院全体のがん化学療法の標準化やリスクマネジメントが必要であるとの認識のもと、現在は審査制によりプロトコールを採用することとなりました。そしてプトコールの審査を行うにあたり、医師(センター長1名および診療科医師5名)、看護師(化学療法センターより1名)、薬剤師(2名)、化学療法センター事務局スタッフ(3名)の計12名で構成される化学療法プロトコール委員会を設置し(図2)、現在は月1回審査会を開催しています。なお、現在登録されているプロトコールは使用頻度の低いものもすべて含めて707件あり、2008年度に使用頻度の高かったプロトコールは表に示したようなものになります。
新規プロトコールの申請は1ヵ月あたり約4〜5件ありますが、事前の書面審査ならびに審査会において、そのプロトコールが医学的および薬学的なエビデンスに基づいているかどうかを審査しています。プロトコールの申請にあたってはプロトコール登録票に加えて、関連文献や各種ガイドライン、治験や臨床試験プロトコールの場合であれば、臨床研究計画書および倫理委員会承認書の提出を義務づけています。また実際の審査・査読には各診療科医師が外部委員として参加しており、審査の中立性を確保しています。のため、必然的に化学療法センターにおけるプロトコール運用に各診療科の先生方も関与して頂けるようになっています。
なお、当院で採用されている代表的なプロトコールは、東北大学病院がんセンターのWebサイトで公開しています。医療関係者向けには各プロトコールの詳細な内容およびエビデンスレベル、さらには各プロトコールに対する解説やコメントを掲載しており、患者さん向けには、そのプロトコールの意義やどのような薬剤による治療なのかについて簡単に解説しています。当サイトを見て実際の治療の参考になったと、他院の先生からお話を頂くこともあります。
がん化学療法はチーム医療になりますので、スタッフ間の連携が必要不可欠であり、当院のような総合病院では診療科間の連携も重要になってきます。
このような業種間の連携を図るため、薬剤師および看護師によるミーティングを、毎日診療時間終了後に行っています(写真:ミーティング風景)。ここでは、当日の薬剤投与状況、特にアレルギーの発現などの報告と、翌日治療を受ける患者さんの情報共有を中心に行っています。これに加えて、医師が参加するミーティングも月に1回開催しています。ここでは、化学療法センターの専任・兼任医師、薬剤師、看護師が日常の業務改善、なかでも運用システムの問題点や対策について話し合っています。これらのミーティングで特に他の診療科にも共有すべきと思われたものについては、3ヵ月に1回開催される、関連する全診療科の医師も加わったワーキンググループでの議題にしています。このようなミーティングは各診療科や各部門の現場から、もっと風通しを良くしようといった声が上がり実施されているもので、業種間の問題共有についての意識が、各部門やスタッフから自然と表れてきていると感じています。
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