消化器癌治療の現場から|消化器癌への様々な取り組みをご紹介します。

第2回 東北大学病院化学療法センター

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外来化学療法部の概要

 化学療法のオーダリングは、病院の診療支援システムであるEG-MAINに、東北大学メディカルITセンターの協力を得て独自に開発した化学療法支援システムを組み込んだものを用いて行っています。まず、患者さんの治療前日に各診療科の医師がこの支援システムを利用して、化学療法プロトコールを設定します。プロトコールを設定すると、初回の患者さんの場合は、支援システムから自動的に化学療法患者同意文書が印刷され、それを患者さんにお渡しし、記入をしてカルテに保存します。同時にプロトコールにかかる治療所要時間をもとにセンター内のベッド予約を取ります。これらは治療前日の午前10時までに完了します。薬剤師はこれらのオーダーを受けてプロトコールを確認し、患者さんごとに注射剤およびラベルの準備をし、薬剤部から化学療法センター内の調剤室に搬入することになります。

体調管理ノート

 また、患者さんに安全に、かつ安心して化学療法を受けてもらうために、センターのスタッフがオリエンテーションを行っています。オリエンテーションでは、当院オリジナルの患者さん用教材や体調管理ノート(写真:体調管理ノート)、DVDなどを用いて患者さんの静脈ポートのセルフケア、副作用の自己管理について主に説明をしています。なお、患者さんはご自身の体調について、われわれ医師にではなく看護師に相談することも多いため、特に体調面の管理については、オリエンテーションを担当した看護師を極力初回の化学療法の担当にするなど、より患者さんが安心して治療を受けられるよう気を配っています。このようなオリエンテーションは日常診療のなかで行っていますが、主に検査結果が出ない朝早い時間帯を利用して行っています。
 そして治療当日ですが、まず患者さんは各診療科にて診察および採血を行います。このときの血算検査は至急検体として扱われ30分以内に結果報告がなされます。この検査結果や当日の体調をもとに、医師は当日の化学療法について、実施可能か、プロトコール修正や薬剤量の変更が必要か、あるいは当日の治療を見送るかなどの判断をして支援システムに入力します。治療実施の入力をすると、診察室および化学療法センター調剤室のプリンターの2ヵ所で処方せんが印刷されます。それをもとにセンター内の薬剤師が治療開始時間から逆算して調剤を開始し(写真:調剤風景)、センターに搬入します。

調剤風景

 患者さんは、治療開始時間になったら診療科医師のサイン入りの処方せんをもって化学療法センターを訪れ、スタッフからネームカードをもらいベッドに向かいます。処方せんはセンターの医師および看護師によりカルテおよびセンター調剤室に印刷された処方せんと照合され、処方された薬剤がその患者さんのもので間違いないかについての最終チェックがなされた後、治療開始となります。
 このように運用フローは複数の部門や診療科間の連携により構成されており、各部門は距離的にも離れていることから、その基幹となる支援システムの存在は情報を共有する上でとても重要となります。たとえば、医師がオーダー時の薬剤量を10%以上増量もしくは70%未満に減量する場合、その理由を必ず入力しなければいけません。さらに治療当日の実施の有無について、医師が「実施不可」とした場合には、その理由も体調管理ノート調剤風景の理由も入力することを義務づけており、これによって化学療法センターの看護師および薬剤部などの関連部門が瞬時に情報を共有化できるため、事後の疑義照会を極力減らすことができます。

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