消化器癌治療の現場から|消化器癌への様々な取り組みをご紹介します。

第3回 熊本大学医学部附属病院 外来化学療法室

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がん診療における現状の課題と今後の展望

 患者さんにとっていちばんのメリットは、やはり外来化学療法室が院内の外来化学療法の100%を担うことだと考えています。しかし現状では、物理的に困難といった問題はもちろん、診療科間の調整、すなわちコミュニケーションに関して解決しなければならない問題もあります。こうした点については、私見ではありますが、全体で考えるよりも診療科の医師などと個別で対応していくほうが、より解決は早いと考えています。
 また外来化学療法では、内服の抗がん剤の管理、すなわちコンプライアンスの確認や自宅において発現する副作用の把握などが非常に難しいことが課題といえます。したがって、開業医、薬剤師、訪問看護師などのさまざまなスタッフにご協力頂き、連携パスや“私のカルテ”を活用できれば、より適切に内服抗がん剤の管理が可能になると考えています。
 そして、抗がん剤治療と緩和ケア、あるいは在宅ケアとの共存という問題も課題の1つです。より早期に緩和ケアを導入しつつ、抗がん剤治療も行っていくというのが理想的といえますが、これがなかなかうまくいかないのが現状です。したがって、この対応策としては、患者さんやそのご家族の教育がまず必要ということ、そして医師間の意思統一が必要であると考えています。現在、このような課題を克服すべく、当療法室、各診療科の外来および病棟の医師、そして地域連携センターのソーシャルワーカーに緩和ケア病棟のある院外のいわゆるホスピスの医師に参加してもらって、診療科単位で外来化学療法カンファレンスを定期的に開催しており、また、在宅緩和ケアまで推進できるような連携パスのシステムについても考案中です。
 さらに、院内における課題としては、現状では当院に腫瘍内科はありませんので、現在、腫瘍内科の設置を呼びかけているところです。

地域全体で外来がん医療を支える姿勢が重要

 そもそも“私のカルテ”といった考え方自体は、各都道府県で作成されている連携パスにも盛り込まれていると思いますが、熊本県のように「私はこういう者で、こういう生活をしています」といった患者さんのプロフィールが書かれていたり、コ・メディカルが記入する連絡帳のようなものを入れたりする発想は、他県では見当たらないのではないでしょうか。
 全圏域共通の連携パスと“私のカルテ”といった熊本県のユニークな取り組みによって、今後の外来化学療法で最も重要な“地域全体で外来がん医療を支えていく姿勢”を築きあげていこうと考えています。もちろん、そのためには在宅医や訪問看護ステーションなどとの緊密な連携とともに、病院内の地域連携室や緩和ケアチームとの協力があってはじめて実現可能となるわけですが(図1)、こうした動きが全国的に広まっていけば幸いと考えています。

 図1 がん診療地域連携パス
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