消化器癌治療の現場から|消化器癌への様々な取り組みをご紹介します。

第6回 高知医療センター 腫瘍内科

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外来ケアルームにおけるがん化学療法の実際

写真3 抗がん剤認証

 当院ではバーコードを用いた電子カルテ上での患者認証システムを構築しています(写真3)。つまり、コンピューターと看護師ならびに患者さんがトリプルチェックを行うことで、医師が立ち会わずとも、安全性がしっかりと担保されるようになっています。さらに、この認証システムでは顔写真による確認も行っています。容貌の変化の多い化学療法患者さんですので、最低盆と正月年2回以上(レジメン変更時は更にその際も)は写真を更新し、体重については月1回更新することにしており、これらの更新なしに認証しようとするとアラームが発生する設定となっています。

 治療開始前のリザーバー穿刺、血管確保、採血による血液検査の結果確認は最初に看護師が行います。つまりこの時データが良くない、有害事象が強く出ているなどと判断した場合には看護師により診察順を早めるなどのトリアージを行うわけです。データ等問題ない場合は通常通りに診察待ちの後、医師の診察となります。診察で問題なく実際に治療を行う場合は、ひきつづき薬剤師による調剤の後、看護師による抗がん剤の投与が開始されます。また、治療中の有害事象の種類やグレード、発現および消失時期などに関する有害事象テンプレート(図1)を用い看護師、CRCなどが入力しています。このテンプレートを用いることで、われわれ医師をはじめとする医療スタッフ全員がデータを共有することができ、さらにテンプレート上で事象に関して「確認しました」、「変更しました」、「修正しました」といった記載が可能で、すべてのスタッフによる有害事象への統一された認識とそれに対するきめ細かい対応が可能になったと考えています。

図1 有害事象テンプレート

 なお、患者さん自身にも抗がん剤投与中の有害事象などへの対処を十分に認識、理解していただく必要があると考え、外来ケアルームの資料スタンドには自由に持ち帰っていただけるように口内炎対策、自己抜針の手順やリザーバー治療中の対応などに関する冊子を陳列し、さらにこれらの内容に関するDVDビデオは自宅へ貸し出したり、 “がん患者サロン”などで観ていただくようにしています(写真4)。

写真4 患者さん向け資材
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