消化器癌治療の広場 GIcancer-net
神戸大学医学部附属病院 外来化学療法室は、院内の実務スタッフによるワーキンググループが中心となり2004年12月に開設されて以降、地域のがん患者さんに安全、安心、安楽な外来化学療法を実践してきた。一方、施設を通じてスタッフの高い目的意識や診療科間の協力姿勢が浸透しており、各職域におけるスキルアップおよび院内において多職種によるチーム医療が推進されるなど、患者さんのメリットにつながる取り組みが常に行われている。そこで今回、院内化学療法におけるコメディカルの役割や、地域における医療スタッフの教育拠点としての役割などについて、神戸大学医学部附属病院 外来化学療法室長 向原 徹 先生にお話を伺った。
神戸大学医学部附属病院では2004年末より外来化学療法室を開設し、運用しています。開設以前、外来化学療法は各診療科の処置室でそれぞれ行っていました。当時、外来化学療法加算の要件が変更になるにあたり、当院でも外来化学療法を充実させる必要が出てきたことから、実務者を中心としたワーキンググループが設立されました。看護師の井上容子さんは、ちょうどその頃がん化学療法看護認定看護師の資格を取得され、このワーキンググループに加わりました。そして現場側からさまざまな意見を出し、外来化学療法室のスペースの確保やレイアウトの検討を行うなどワーキンググループからのボトムアップにより、限られた設備やマンパワーで開設に漕ぎつけました。
現在、外来化学療法室のベッド数は10床で(写真)、1日平均25件の化学療法を実施しています。多いときで約40件実施する日もあり、1治療ベッドあたり2〜4回転する計算になります。月間の治療件数は、立ち上げ当初は150件程度でしたが、現在は約500件と、患者さんは増加傾向にあります(図1)。
外来化学療法室を利用するすべての診療科から医師が参加し、運営委員として日々の実務は専任の看護師4名および薬剤師2名で行っています。看護師はこのなかで1名ががん化学療法看護認定看護師の認定を受けています。
化学療法のオーダーは前日14時までに行います。治療当日は患者さんが来られて検温、採血検査などをして主治医による診察を受け、検査結果に問題がなければ主治医が化学療法のオーダーを確定し、患者さんは注射伝票を持参してこちらの外来化学療法室に来られます。外来化学療法室でもバイタルサインの測定、問診を看護師が行い、実施の最終確認が行われます。実施が確定しますと薬剤師が調製をはじめます。そして患者さんがこちらで化学療法を受けるという流れになっています。
化学療法のレジメン登録は抗悪性腫瘍剤審査委員会で行っており、現在登録されているもので345あります。診療科別では腫瘍・血液内科が最も多く、FOLFOX、ゲムシタビンなどといったレジメンの使用頻度が高い傾向にあります。
GI cancer-net
消化器癌治療の広場
Copyright © PharMa International Inc. All rights reserved.