消化器癌治療の現場から|消化器癌への様々な取り組みをご紹介します。

第8回 三沢市立三沢病院 腫瘍内科

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外来化学療法の問題点−患者アンケート調査から分かったこと−

 外来化学療法は抗腫瘍効果とともに、入院期間の短縮、生存期間の延長、さらには経済的負担の軽減などに配慮した方法を、患者さんやご家族に提供することがきわめて重要です。そこで2007年の旧病院時代に、入院治療歴のある消化器がん患者さん30例にアンケートをとり、通院、コスト、治療時間、環境などに関して外来化学療法に何を望んでいるかを調査しました。

 その結果、患者さんの84%が外来での治療を希望し、その理由として「自宅で過ごす時間が欲しい」との意見が多くみられました (図2)。また、患者さんの50%が週1回以上、46%が2週に1回の通院をされているなかで、通院回数の多寡については80%近くが「どちらともいえない」と回答したのですが、週1回以上の通院を「大変だ」と訴える患者さんもおり、治療時間は「3時間以内」を望まれる患者さんが多くを占めました。そして、患者さんの30%が外来での化学療法を「不安」と感じており、その理由は「治療費などの経済的負担」、「治療効果」、「夜間や休日の受診」、「痛みや副作用」などに関するものでした。さらに、治療費については「高い」または「非常に高い」との回答が約60%の患者さんから得られました。

図2 化学療法を実施する場所の希望とその理由(患者アンケートより)

 このような結果から、外来化学療法は効果や生存期間の延長もさることながら、患者さんに“自身の時間”を提供できる、さらには安心して治療を受けられるような環境整備や診療体制の構築がより一層重要であることが明確になりました。現在、新病院に移転してからの患者さんの満足度がどのように変化しているかを明らかにすべく、再度アンケート調査の実施を検討しています。

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