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当院における化学療法は原則として初回導入時、つまり1サイクル目は入院により治療効果や副作用をチェックし、その後外来に移行するという手順をとっていますが、こうしたアンケート調査の結果をもとに、よりスムーズかつ問題なく外来へ移行することを目指し、きめ細かい対応を心がけることとしています。
具体的には、導入時のオリエンテーションは病棟の看護師が主体となって行い、また、化学療法で使用する薬剤や副作用、生活上の注意などについては資料を用いて専任薬剤師が説明します (写真3)。そして退院日が決定した時点で、外来の専任看護師が中心となって患者さんに外来化学療法室を見学してもらいながら、退院後の日常生活の注意点、起こりうる副作用の予防策・対処法、外来の受診から治療の進め方 (写真4)、緊急時の受診方法などに関するオリエンテーションを行っています。ただし、患者さんに対して一度にいろいろなことを説明しても、なかなかご理解いただけないことが多いため、副作用に関する注意点や対策については、状況に応じて必要なタイミングで繰り返しお話するようにしています。そして、患者さんはもちろんのこと、ご家族の相談・悩みに積極的に応じるなど、患者さんとご家族の信頼関係の構築に努めています。
このように、がん患者さんならびにご家族への支援に医師、専任看護師、専任薬剤師は大きな役割を担っているわけですが、これらスタッフ以外に、がんに関する専従相談員、がん登録に従事する診療情報管理士といった専門的な知識・技能を有するスタッフとの連携によるチーム医療を推進することで、患者さん・ご家族へのさらなる支援に努めています。
そして、こうした各職種のスタッフ全員があらゆる抗がん剤の特徴や注意すべき相互作用、副作用のリスクマネジメントなどに関する情報を共有化できるような体制を整えています。たとえば、専任看護師は院内のすべての看護師に向けた抗がん剤の勉強会を定期的に主催し、薬剤師は薬剤部内でスキルアップを図るなど、それぞれが新たな情報や知識の習得、能力や技術の向上を図っており、加えて、院内の各職種のスタッフを集めた全体的な勉強会を随時開催し、専門的知識の向上を目指しています。
また、新病院移転後のがん診療の特徴の1つとして、放射線治療がん治療認定医が常勤していることが挙げられます。こうしたスタッフとの連携も緊密にすることで、手術、化学療法、放射線治療を適切に組み合わせ、緩和医療を含む複数の診療科間で支援を行う“集学的治療”の提供が可能となっています。さらに、セカンドオピニオン外来を開設して、がんの診断・治療に関する相談を受け付けています。
一方、
したがって、スムーズな地域連携を実現するためには、実地医家の先生方や医療スタッフに向けた勉強会を定期的に開いてスキルアップを図ることや、いきなり抗がん剤の投与を任せるのではなく、まずは術後のフォローだけを行っていただくような連携パスを作成して徐々にレベルアップを図るなどの施策を講じていき、理解や協力を得る必要があると考えています。
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