消化器癌治療の現場から|消化器癌への様々な取り組みをご紹介します。

第5回 第二岡本総合病院

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患者さんやご家族同士が本音を語り合える“ がん患者サロン”の開設

 京都府南部では初となる“がん患者サロン”が、今年4月から当院に開設されることとなりました。このがんサロンは、患者さんとそのご家族の癒しの場であるとともに、医療情報を獲得される場であり、また、地域へ向けての活動の場、医療スタッフと患者さん・ご家族との信頼関係構築の場でもあります。つまり、がん患者さんやご家族同士が気軽に集まり、世間話をしたり、病気の悩みをうち明けたり、反対にそれを聴いてあげたり、あるいは情報の交換をしたりするなど、何でも本音で語り合って悩みや考えを共有できる場です。これによって、患者さんやご家族には、前向きに立ち向かっていく姿勢がいかに大事であるかを認識して頂くことができ、患者さん自身が自分を癒していく、いわば“患者力”が生まれるのではないかと期待しています。そして、われわれ医療スタッフは、患者さんならびにご家族との信頼関係をこのサロンを通じてより深めることで、患者さんの人生の応援者になれればと考えています。

 サロンは月2回、1階の外来化学療法室近くにある面談室で開く予定としていますが、参加される方が増えれば開催回数の見直しや女性または男性専用日の設定なども考えていきたいと思っています。なお、参加者は当院に通院されている患者さんやそのご家族に限らず、他院の患者さんあるいはご遺族など、関心を持たれているすべての方を対象としています。しばらくの間はNPO法人「京都がん医療を考える会」にサポートしてもらいますが、できるだけ早い時期に世話人をしても良いと手を挙げて頂けるがん患者さんが出てくれることを望んでいます。

患者さんを地域のなかで最期までみることが大事

 がん化学療法は、手術や放射線治療、そして緩和ケアを含めた総合的ながん医療のあくまでも一部分に過ぎないというのが当院の考え方です。つまり、化学療法を受けられている患者さんの多くはがんが進行しているわけですから、化学療法だけに力を入れるのではなく、われわれが地域のなかで最期まで支えるという取り組みや姿勢を患者さんにすべて提供し、それを理解して頂きながら通院してもらうことが大事だと思っています。また、ここ数年の抗がん剤による生存期間の延長は目覚ましく、高い治療成績が得られるようになっていますが、患者さんがより長く生きられた分、抗がん剤の副作用、あるいは疼痛、さらには悩みや不安で苦しまれるようなことがあってはならず、長く生きられた時間は有意義で充実したものだったと実感して頂くように努めるのが、われわれがん医療に携わる医師の使命と考えています。

 先にお話したように、当院は京都府から地域がん診療連携協力病院に指定されたこともあり、この地域でのがん医療におけるトータルマネジメントに果たす役割は今後ますます重要になっていくものと考えます。すなわち、地域住民へのがん対策の一層の充実を図るため、地域のがん診療にあたる病院や診療所、在宅医をはじめとしたさまざまな医療スタッフとのさらなる連携強化に関してより大きな役割を担うこととなるでしょう。山城北地域は二次医療圏に位置づけられていますが、この地域が京都府のモデル地域となるよう、これからも考えうる限りのあらゆる施策を展開していきたいと考えています。

集合写真
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