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京都市の南東部、伏見区に位置する京都医療センターは、38診療科を標榜する国立の高度総合医療施設であり、京都府より三次救急医療施設の指定を受ける施設でもある。また、がん医療に関しては、2003年9月より外来での化学療法を開始し、2006年4月に腫瘍内科が開設された。さらに、2007年1月には地域がん診療連携拠点病院に指定されたことから、がん患者の総合的なサポートを目指し地域連携のさらなる普及と発展に取り組んでいる。そこで今回、腫瘍内科開設の経緯や外来化学療法の実際、地域連携の現状や展望などについて、国立病院機構 京都医療センター外来化学療法センター長/腫瘍内科 診療科長 安井 久晃 先生にお話を伺った。
京都医療センターにおける外来化学療法は、私が赴任する以前の話になりますが、土屋宣之先生 (写真右上) のご尽力により2003年9月に外科の外来診察室の空きスペースにベッド2床を設けたことからスタートしました。そしてその約1年後、院内に外来化学療法小委員会が作られたのを機に外来化学療法室の設置が正式に決定されました。当初ベッド6床で稼働を開始し、その後しばらくして9床へと運用を拡大しました。
直近1年間の外来化学療法の施行件数は、ひと月あたりおよそ300件、1日平均では約15〜16件という状況で、物理的 にベッド数が不足し飽和状態となっていました (図1)。そのため、このような状況の解消はもとより、今後ますます増えると予想される外来化学療法の施行に対応するために移転・拡張することが大きな課題でした。今年6月、長年の要望が叶い、広いスペースに移転することができ、ベッド数を18床に増やし(写真1、図2)、看護師5名、事務員1名が常駐する「外来化学療法センター」として新たな運用を開始しました。このスペースは外来化学療法センター用として、一から室内の設計を行うことができたため、治療中の患者さんの状況を観察しやすいようチェア・ベッドを配置するなど、われわれ医療従事者も仕事がしやすいつくりとなっています。
なお現在、外来化学療法センターを利用する診療科としては、われわれの腫瘍内科が約6割と最も多く、次いで乳腺、外科および呼吸器科が約1割を占め、また、その他に血液内科、婦人科、泌尿器科、脳外科、耳鼻科、消化器科、さらには外科の大腸がん術後補助化学療法など、多岐にわたって利用されています (図3)。がん種としては腫瘍内科の消化器がんが最も多くを占めています。
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