消化器癌治療の現場から|消化器癌への様々な取り組みをご紹介します。

第11回 昭和大学横浜市北部病院 外来化学療法室

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外来化学療法室における看護師・薬剤師の養成・確保に関する課題

 冒頭でお話ししたように、外来化学療法室は、2010年9月から土曜日午前中の受け入れを加え、2011年には17床へ病床拡大しています。その都度、看護師、薬剤師の人的確保の問題は生じていますが、部署内外の協力で対応しています。看護スタッフにおいては、入れ替わりが激しいこと、勤続年数の長いベテランスタッフがそれほど多く在籍していないなど、多くの大学病院が持つ特徴があるため、患者さんの安全性と快適性を維持・強化していくためには、配属スタッフのスキルを標準化し高めていく教育体制の整備・充実が重要ではないかと考えています。また、今のところ当院には、がん化学療法の認定看護師がいませんので、そうした看護師の養成も病院全体としての今後の課題の1つと考えています。

 一方、薬剤師の側から言うと、現在、外来化学療法室での服薬指導は、化学療法初回導入後およびレジメン変更後に、外来化学療法室を初めて利用する患者さんに限られている状況です。本来であれば、外来化学療法室を利用されるすべての患者さんに対し、その都度服薬指導を行うというのが理想と考えられますが、やはり時間とマンパワーの問題で難しいというのが実情です。外来化学療法室を利用しているすべての患者さんに対し、必要に応じて服薬指導を行えるといった環境整備、すなわち専任薬剤師の人数確保ならびに養成が重要な課題と考えています。

地域の特色に照らし合わせたさらなる医療貢献の実現に向けて

 当院のある横浜市都筑区は、横浜・川崎の中心部ならびに都心へのアクセスが良好な新興開発地域ということもあって、全国的にも有数の人口増加率を示しています。また、平均年齢は38.31歳 (2010年1月1日現在) と、横浜市全18区中唯一の30歳代となっており、15歳未満の年少人口の割合が18区で一番高いことから、働き世代のなかでも若い子育て世代が多く暮らしていることが特色と言えます。こうした一方で、最近、当院の最寄り駅周辺には、高齢者専用賃貸住宅や介護関連の施設などが数多く建設されています。若い世代が地方で暮らす高齢の両親を呼び寄せる、あるいは高齢者が住み慣れた地域から転入してくるというケースがこれからも増えていくものと思われます。このような生活背景を持つ若い世代および高齢世代それぞれの患者さんおよびその家族への対応は、家族間の関係性をそれぞれ個別に考慮しながら進めていく必要があり、個別性の高い医療・看護が必要とされます。

 われわれ医療スタッフは、がん患者さんに対して安全で快適な治療を提供することを常に念頭に置いて日々の業務にあたっています。近隣のがん診療拠点病院や地域医療機関との緊密な連携を図りながら、より一層の医療貢献ができるよう尽力していきたいと考えています。 (スタッフ集合写真)

集合写真
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