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岩手県盛岡市にある岩手県立中央病院は、県内全域を対象にした先進・高度・特殊医療機能はもとより、臨床研修・教育機能ならびに情報機能、さらにはへき地医療機関とのネットワーク構築・支援を行うなど、県立病院の中心としての役割を果たしている。また、時代のニーズに応じた専門外来の拡充を推進するなか、2006年4月に開設されたがん化学療法科は、専門性の高い看護師・薬剤師の育成を図ることで、チーム体制によるがん患者へのより安全で快適な化学療法の提供を目指している。そこで今回、岩手県立中央病院 がん化学療法科 診療科長 加藤 誠之先生をはじめ、各スタッフそれぞれの立場から見た外来化学療法室の現状や今後の展望についてお話を伺った。
加藤: 岩手県立中央病院の外来化学療法室は、2004年にベッド8床からスタートしました。その後、2006年4月には私の着任とともにがん化学療法科が開設され、ベッド数もがん患者さんの増加に伴って12床、18床へと徐々に拡大されました。そして、2010年10月の新外来棟の増築・移転を機に、当科に面した場所にベッド26床とリクライニングチェア4床の計30床と、抗がん剤などの専用調整室を備えた外来化学療法室が新設されました。(写真1)
私が赴任した当初、がん化学療法に特化した専門の看護師、薬剤師は揃っていなかったのですが、現在では、がん化学療法看護認定看護師、がん専門薬剤師、がん薬物療法認定薬剤師、がん指導薬剤師といったスタッフの充実が図られ、外来化学療法室専任の看護師ならびに薬剤師とともに、がん患者さんへのより質の高い医療提供に努めているところです。
佐々木: リクライニングチェアよりベッドが圧倒的に多いのは、患者さんの要望にお応えした取り組みの1つです。また、プライバシーが適度に守られるよう固定式のパーティションを取り入れ、患者さん一人ひとりに快適にお過ごしいただけるよう工夫しています。
平成23年度の外来化学療法の施行件数は4,937件で、ひと月あたりでは平均411.4件、1日あたりでは平均20.1件でした。最大では、1日40件以上になる場合もありました (図1)。外来化学療法室の利用が多い診療科は、加藤先生が所属されているがん化学療法科をはじめ、乳腺外科、消化器外科などです (図2)。たとえば、大腸がんの化学療法レジメンとしては、mFOLFOX6 or XELOX±ベバシズマブやFOLFIRI or IRIS±ベバシズマブ、それに抗EGFR抗体薬が代表的です。なお、2012年4月の診療報酬改定によって、外来化学療法室での前立腺がんや乳がんへのホルモン治療が加算対象になりましたので、こうしたホルモン剤の投与を加えると、施行件数は今後急激に増えていくと予想されます。
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