消化器癌治療の広場 GIcancer-net
富山県立中央病院は県内における基幹・中核病院として、高度・専門医療の充実とともに地域連携の推進、次代の医療を担う人材の育成ならびに教育・研修機能の充実などに大きな役割を果たす唯一の県立総合病院である。都道府県がん診療連携拠点病院としての機能を備えるとともに、2008年4月には院内の外来化学療法を一手に引き受ける通院治療室が開設され、より質の高いがん診療体制の構築が図られている。そこで今回、富山県立中央病院 外来化学療法科 堀田洋介先生と平井聡先生をはじめ、各スタッフの視点から考える外来化学療法の現状や今後の展望についてお話を伺った。
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堀田: 富山県立中央病院では、2006年6月に成立した「がん対策基本法」 (2007年4月1日施行) の基本的施策の1つである“がん医療の均てん化の促進等”を踏まえ、翌年度予算で外来化学療法科を新設することが決定しました。そして2007年6月より、国立がんセンター中央病院 (現国立がん研究センター中央病院) や静岡県立静岡がんセンターを視察するとともに、同年10月より平井先生が国立がんセンター中央病院での研修を開始し、看護師や薬剤師に対しても専門知識を高めるべく研修をスタートさせました。
また、院内における外来化学療法の運用やシステムの仕様を議論する外来化学療法ワーキング検討会を月1回の頻度で開催し始めました。その後、この検討会を発展させた外来がん化学療法室運営委員会、がん化学療法レジメン審査小委員会が発足し、2008年4月1日、それまで各診療科の外来処置室でそれぞれの担当医ごとに行われていたがん化学療法をすべて取りまとめて行う通院治療室が開設されました。また、同年6月には電子カルテ上でのレジメンシステムが本格稼働となり今日に至っています。なお、私は2009年に赴任してきましたので、立ち上げ時における各診療科との調整、膨大な数に及ぶ化学療法レジメンの登録や電子カルテ上でのシステム連携、それに副作用マニュアルの整備などには、平井先生、看護師の高島さん、薬剤師の岸さんをはじめとする主要メンバーの多大な尽力がありました。
現在、通院治療室にはDVDの視聴が可能なテレビを備えたベッド10床とリクライニングチェア12床の計22床が設置されており (写真)、北陸3県では最大規模のベッド数となっています。また、がん薬物療法専門医である私と平井先生、がん化学療法看護認定看護師である高島さんを含む専任看護師4名、がん薬物療法認定薬剤師である岸さん、そして事務員1名が従事しているとともに、各診療科より協力を得て、当番制で医師に常駐してもらうようにしており、トラブルなどへの迅速で的確な対応を図っています。
通院治療室を利用されている外来患者数は1日あたり30件、ひと月あたり600件に達しており、1日の平均利用者数ならびに年間利用者数の推移をみると、通院治療室が開設された2008年度と比べ2011年度では著しい増加を認めています (図1、2)。また、2011年度の診療科別にみた外来化学療法実施数の割合は、多い順に消化器内科30%、乳腺外科19%、消化器外科18%などで、がん種別には消化器がん25%、乳がん18%、肝・胆・膵がん18%、肺がん10%などでした。
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
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