消化器癌治療の現場から|消化器癌への様々な取り組みをご紹介します。

第13回 富山県立中央病院 通院治療室

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院内および地域における現状の課題や今後の展望

堀田: 富山県は県内のどこからも当院へのアクセスが比較的良好で、あらゆる地域からがん患者さんが来院されています。こうしたこともあり、当院でのがん患者さんに対する手術件数は年々増加していますし、それに伴ってがん化学療法を行う患者さんの数も増加しています。しかも、最近では分子標的治療薬を中心とした新規の抗がん剤が数多く登場しており、大腸がんや肺がんに対する化学療法などは明らかに生存期間の延長をもたらしていることから、今後、患者さんは一層増加するものと予想されます。
 そのような変化に対応して、より充実した通院治療室としてさらに安全で快適な医療を提供していくためには、一定レベルのスキルを身につけたスタッフの増員や通院治療室の増床などが必要となってくるのではないかと考えています。

酒井: また、治療に対する患者さんやご家族の満足度をより高めるためには、安全面はもちろんのこと、精神面でのサポートがとても大事だと思っています。つまり、看護師は治療が確実に行えているかを確認するとともに、患者さんの訴えにも耳を傾け、思いを汲み取りながら治療を継続していけるよう支援しています。当院では全ての患者さんが個室で治療を受けていますが、中には同じ治療を受けている患者さん同士で話したいという方もいます。そこで、先ほどお話した“がんサロン“とは別に、患者さんやご家族が自発的にコミュニケーションが行える場を設けて交流を深めるような環境作りのお手伝いができないかと考えているところです。

高島: また、精神的サポートとして、患者さんの多くが高齢のご夫婦あるいはお一人暮らしなので、そうした方々を対象に定期的に電話をかけ、しっかり薬が服用できているかどうか、また、ひどい副作用が出ていないかどうかといった点を確認する電話訪問を今後導入していきたいと考えています。

堀田: こうした電話訪問は単なる状況確認の役割を果たすだけでなく、患者さんに対する精神的支援の一環として非常に有効な手段であると言えます。このように、看護師をはじめとする他職種のスタッフに精神面でより一層関わってもらえると、われわれ医師の診療業務の負担は一段と軽減されると思います。
 なお、院内における体制としては、がん相談や看護専門外来といったカウンセリング、それに緩和ケアなどが現状でも十分に整備されていると考えますが、患者さんがさらに精神的に穏やかで気楽な日常生活を過ごせるような支援や環境作りについて、通院治療室が主体となって積極的に取り組んでいきたいと考えています。

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