消化器癌治療の現場から|消化器癌への様々な取り組みをご紹介します。

第13回 富山県立中央病院 通院治療室

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通院治療室における診療の流れ

高島: 患者さんには来院時にまず採血をしてもらった上で、各診療科の外来を受診していただきます。そして、主治医は血液検査の結果と状態を確認し、問題がなければ電子カルテ上のレジメンシステムに治療開始の指示を出し、そのオーダーにしたがって薬剤部において調剤が開始されます。その後、患者さんには通院治療室においでいただき、私たち専任の看護師が点滴ルートを確保し、薬剤の準備が整い次第、治療を開始します。

平井: 当院のレジメンシステムでは、登録されているレジメン以外は使えないようになっています。また、たとえば2週間の化学療法を施行していて、その間に新規のレジメンを開始しようと電子カルテに入力すると、制限がかかるシステムが構築されています。

高島: 加えて、必ず検温や血圧測定、意思確認を行うといった当日確認システムが働きます。つまり、患者さんが通院治療室に来られても、熱があることや、前回の治療後の副作用など主治医に伝え忘れたことを含め、何か問題があった場合は直ちに薬剤部に調剤の中止が伝えられるとともに、各診療科の主治医にも情報が伝わり、患者さんの状態はもちろん、治療を実際に行うかどうかという患者さんご自身の気持ちをあらためて確認するようになっています。

岸: 薬剤部ではレジメンシステムによって自動計算された薬剤投与量を再確認します。そのため、各診療科外来の主治医、通院治療室の看護師および薬剤師によるトリプルチェックが行われることで、薬剤投与に関する安全性が担保されています。

高島: 治療中は前回の治療で観察された副作用に注意を払っています。また最近では、各メーカーが作成している日記形式の冊子を患者さんに利用してもらい、来院時における症状の把握やそれに対するアドバイスを行っています。なお、副作用は薬剤によって異なるため、通院治療室のスタッフ全員が統一したケアを患者さんに提供できるよう、レジメンごとに適切な看護を行うためのクリニカルパスを作成しています (図3)。
 さらに、患者さん自身が気になっている点、困っている点などについてお話を伺うようにしており、その症状や訴えの内容を電子カルテに記入するとともに、症状の程度に応じて各スタッフに速やかにフィードバックし、可能な限りその場で適切な対処ができるよう心がけています。
 また、患者さんへのオリエンテーションは、入院で化学療法を行う場合はその初回時に、その後外来治療に移行する場合は退院間際にいずれも病棟から依頼を受け、病棟に出向いて説明をしています。また、初回から通院で化学療法を行う場合は各診療科外来から依頼を受け、私たち看護師と薬剤師が主体となって説明をしています。そして、こうしたオリエンテーションは患者さん本人だけでなく、なるべくご家族を交えた場で行うよう配慮しており、患者さんのキーパーソンとなる方や誰と生活されているのかという点を必ず確認し、緊急時の連絡先やどなたまで含めてお話を伝えるのかといったことを把握するようにしています。

堀田: なお、診療科によって事情は多少異なるのですが、初回の化学療法は患者さんに化学療法への理解を深めてもらうために、そして副作用のチェックのために、原則として入院にて導入しています。

図3 病態適応型のクリニカルパス
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