消化器癌治療の現場から|消化器癌への様々な取り組みをご紹介します。

第14回 釧路ろうさい病院 外来化学療法室

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釧路・根室地域は広大な2次医療圏の集合地「がん医療水準の均てん化」が使命

宮城島: 釧路・根室地域というのは、釧路市を中心とする釧路地域と、根室市、中標津町を中心とする根室地域それぞれの2次医療圏が集まった地域で、面積は東京、埼玉、神奈川の1都2県を上回る広大さです。つまり、釧路市を中心とした半径およそ120km圏内の住民35万人がわれわれの守備範囲で、がん診療としては、当院と同時期に地域がん診療連携拠点病院に指定された市立釧路総合病院と一緒に、2つの2次医療圏をカバーしている状況です。ですから、100km以上離れた根室市や羅臼町から2時間も3時間もかけて外来化学療法のために通院されている患者さんがいらっしゃいます (図4)。
 そうした特殊な事情はありますが、われわれの使命は「がん医療水準の均てん化」ですから、首都圏であろうが釧路であろうが、当然のことながら質の高い医療を実践し、患者さんに提供しなければなりません。したがって、EBMに基づいた標準治療はもとより、患者さんと相談したうえで最先端の治療として新規抗がん薬の治験にも意欲的に取り組むようにしています。ちなみに私は北海道大学医学部第3内科 (現:消化器内科) に所属していましたので、そこが中心となって活動している「北海道消化器癌化学療法研究会 (HGCSG) 」の一員として治験に参加させてもらっています。治験管理には専任の薬剤師や看護師も積極的に関わってくれますので、スタッフ一丸となって「こうした地域でこそ、より専門的な領域に挑戦しよう」という意気込みで活動しています。

図4 市町村別にみた外来化学療法の割合 (平成24年1月〜12月)

外来化学療法の流れと専任看護師の役割

図5 化学療法看護記録用紙
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村山: 外来化学療法を受けるケースは2通りあります。まず、入院患者さんが外来治療へと移行する場合は、担当医の指示にしたがって私たち看護師が患者さんの病棟に出向き、病棟看護師から申し送りを受けます。そして退院前訪問という形で、患者さんに外来化学療法室を実際に見学してもらい、化学療法室オリエンテーションを行い、どのような場所でどのように治療を進めていくのかという具体的なイメージをもって退院していただくようにしています。
 最近では、入院せずに外来で化学療法を始めるケースも増えています。その場合も、各診療科の外来からの連絡を受けてオリエンテーションを行い、外来化学療法室を見学していただき、治療の進め方などを説明し、安心して治療に通えるよう支援しています。
 そして、治療日は受付後まっすぐ外来化学療法室に来ていただくのですが、そこで化学療法室専任の看護師が直接採血をします。これは当院の大きな特色と言えますが、化学療法をより安全に実施するうえで血管確保前からの血管アセスメントを慎重に行っていくことが不可欠であること、そして患者さんの体調を確認するうえで十分なコミュニケーションを図ることがとても重要であると考えているからです。その後、患者さんにはセルフケアの意識や治療に参加しているといった意識を高めてもらうため、血圧、体重、体温をご自身で測定していただき、記録用紙に記入してもらっています (図5)。
 問診では、前回の治療後の様子、つまり副作用はどうだったか、それに対してどのように対処したのかという点をお伺いするだけでなく、記録用紙に記入欄を設けてあるように、治療を受ける意思があるかどうかを必ず確認します。たとえば、「前回の治療後は吐き気が続いて、やっとこの2、3日で調子が良くなったところ。だから今回の治療でまたつらい日々が始まると考えると、ちょっと休みたい」「薬の量を少し減らすことはできないか」とか、あるいは初めから「今日は無理したくないので休みたい」と希望されたり、病気そのものへの不安を訴える患者さんもいます。そのため、看護師は患者さん一人ひとりの意思をしっかり確認したうえでカルテに記入し、担当医に患者さんの思いを伝えることができるよう努めています。
 問診終了後には各診療科で担当医の診察を受けていただき、採血結果と体調に基づいて化学療法を行うかどうかの判断がされます。行う場合は患者さんに外来化学療法室へ戻ってきてもらうのですが、看護師は再度意思を確認してから治療を始めます。終わり次第、帰宅後の日常生活の注意事項などについて説明してお帰りいただいています。

佐々木: 何か問題が起きて対策が必要な場合は個人で解決するのでなく、専任の看護師同士で相談したり、専任の医師や薬剤師を含む外来化学療法室の全スタッフで話し合いの場を設けて情報を共有したり、さらに各診療科の担当医と相談させてもらうような形をとっています。また、たとえば痛みの対策やストーマ、失禁などの対策に苦慮するような場合は、緩和ケアや皮膚・排泄ケアの看護師と相談して問題の解決を図っています。

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