XELOX(CapeOX):Capecitabine+Oxaliplatin(L-OHP)
*Capecitabineの用量は体表面積(m2)により調整 |
Cunningham D, et al.: N Engl J Med. 358(1): 36-46, 2008 |
Capecitabine+Oxaliplatin(L-OHP)[XELOX(CapeOX)]療法は、HER2陰性の切除不能進行・再発胃癌の1次治療として推奨されるフッ化ピリミジン系+プラチナ系薬剤併用レジメンの一つである(胃癌治療ガイドライン:エビデンスレベルB)。また、術後補助化学療法として、患者の状態などに応じて、6ヵ月間の投与を行うことが推奨されている(胃癌治療ガイドライン)。
◆REAL-2試験1)
CapecitabineとOxaliplatin(L-OHP)の5-FUとCisplatin(CDDP)の有効性に対する非劣性がそれぞれ示された。
◆NCT009855562)
韓国のXELOX療法とSOX療法の第II相比較試験でも同等の治療成績が報告され、推奨される治療選択肢とされている。
◆CLASSIC試験3)
術後補助化学療法として、XELOX療法の手術単独に対する全生存期間(OS)延長が示された。
◆J-CLASSIC試験4)
本邦でも術後補助化学療法におけるXELOX療法の第II相試験が報告されている。
■有効性
REAL-2試験1)は、切除不能進行・再発胃癌の初回治療例を対象として、ECF療法(Epirubicin+CDDP+5-FU)に対する、CDDPのL-OHPへの置き換え、および5-FUのCapecitabineへの置き換えの非劣性を検証した2×2デザインの第III相試験である。
主要評価項目であるOS中央値は、CDDP群10.0ヵ月、L-OHP群10.4ヵ月(HR=0.92、95%信頼区間:0.80-1.10)、5-FU群9.6ヵ月、Capecitabine群10.9ヵ月(HR=0.86、95%信頼区間:0.80-0.99)と、CDDPに対するL-OHPの非劣性、5-FUに対するCapecitabineの非劣性がそれぞれ示された。
またOSのサブセット解析において、EOX群(Epirubicin+L-OHP+Capecitabine)11.2ヵ月、ECF群9.9ヵ月とEOX群で有意に良好であり(HR=0.80、95%信頼区間:0.66-0.97、p=0.02)、Epirubicin併用下であるがXELOX療法のFP療法(5-FU+CDDP)に対する同等以上の有効性が示された。
OS | OS | HR (95% CI) |
ECF/ECX群 10.0ヵ月 |
EOF/EOX群 10.4ヵ月 |
0.92 (0.80-1.10) |
ECF/EOF群 9.6ヵ月 |
ECX/EOX群 10.9ヵ月 |
0.86 (0.80-0.99) |
ECF群 9.9ヵ月 |
EOX群 11.2ヵ月 |
0.80 (0.66-0.97) |
■安全性
L-OHP 130mg/m2を用いたJ-CLASSIC試験4)において、頻度の高いGrade 3以上の毒性として好中球減少(33%)、食欲低下(17%)、感覚性末梢神経障害(14%)、嘔気(10%)が報告されている。
また、NCT009855562)の切除不能進行・再発胃癌におけるL-OHP 130mg/m2を用いたXELOX療法の第II相試験では、頻度が高いGrade 3以上の毒性として好中球減少(18.8%)、血小板減少(14.1%)が報告された。SOX療法との比較において、手足症候群は全GradeではSOX群3.1%に対しXELOX群25%で有意に頻度が高かったが(p<0.001)、Grade 3以上の手足症候群はXELOX群において1人のみであった。
レジメン解説執筆:国立がん研究センター中央病院 消化管内科 谷本 泉 先生
References
GI cancer-net
消化器癌治療の広場