レジメン講座 | 抗癌剤併用レジメンの投与法を解説します。

5-FU+Cisplatin(CDDP)+Trastuzumab

Bang YJ, et al.: Lancet. 376(9742): 687-697, 2010

Trastuzumabは、ErbBファミリーの受容体であるHER2(human epidermal growth factor receptor type 2)蛋白の細胞外ドメインに結合することでシグナル伝達を阻止し、抗腫瘍効果をもたらすヒト化モノクローナル抗体である。
日本も参加した国際共同第III相試験(ToGA試験1))の結果に基づき、2011年3月に「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌」の適応で承認を受けている。

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◆ToGA試験1)

HER2過剰発現が認められる胃または胃食道接合部の腺癌を対象に、Trastuzumabの有効性と安全性を検証する国際多施設共同無作為化第III相試験が行われた。適応症例594例が「5-FUまたはCapecitabine+CDDP(FP/XP)群」と「5-FUまたはCapecitabine+CDDP+Trastuzumab(FP/XP+Tmab)群」に1:1に無作為化された(解析対象は584例)。

■有効性

主要評価項目である全生存期間(OS)の中央値は、FP/XP群11.1ヵ月、FP/XP+Tmab群13.8ヵ月であり、Trastuzumab併用により有意な延長を認めた(p=0.0046)。
サブグループ解析では、HER2発現度で「IHC 0または1+/FISH陽性(低発現)群」と「IHC 2+/FISH陽性またはIHC 3+(高発現)群」に層別化し、比較検討された。その結果OS中央値は、HER2低発現群ではFP/XP群8.7ヵ月、FP/XP+Tmab群10.0ヵ月、HR=1.07(95% CI: 0.70-1.62)であり、Trastuzumabの有効性は示されなかったが、HER2高発現群ではFP/XP群11.8ヵ月、FP/XP+Tmab群16.0ヵ月、HR=0.65(95% CI: 0.51-0.83)とTrastuzumabによるOS延長効果がより強調された。

  FP/XP群 FP/XP+Tmab群 HR(95% CI) P値
奏効割合 35% 47% - -
PFS中央値(n=584) 5.5ヵ月 6.7ヵ月 0.71(0.59-0.85) 0.0002
OS中央値(n=584) 11.1ヵ月 13.8ヵ月 0.74(0.60-0.91) 0.0046
HER2低発現群
OS中央値(n=131)
8.7ヵ月 10.0ヵ月 1.07(0.70-1.62) -
HER2高発現群
OS中央値(n=446)
11.8ヵ月 16.0ヵ月 0.65(0.51-0.83) -

PFS:無増悪生存期間

■安全性

Grade 3以上の治療関連有害事象は、FP/XP群68%、FP/XP+Tmab群68%であり、減量や中止が必要となったのは82% vs. 84%と、両群に有意な差は認めなかった。
最終投与60日以内死亡はFP/XP群7%(20例)vs. FP/XP+Tmab群5%(15例)であったが、治療関連死亡は1%(3例)vs. 3%(10例)であった。
FP/XP+Tmab群で5%以上に発現したGrade 3以上の治療関連有害事象は、好中球減少(27%)、貧血(12%)、下痢(9%)、嘔気(7%)、嘔吐(6%)、食欲不振(6%)、発熱性好中球減少症(5%)、血小板減少(5%)、無力症(5%)であり、下痢(9% vs. 4%)以外はFP/XP群と頻度は同程度であった。Grade 3以上のinfusion-related reactionはFP/XP+Tmab群において6%(17例)で認めたが死亡例はいなかった。

レジメン解説執筆:国立がん研究センター中央病院 消化管内科 石川 将史 先生

Reference

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